小さじ半分の調味料が料理の味をガラっと変えることもある。そうした力をもつ調味料は、もはや食材の領域。予約の取りにくい店として評判の「リストランテ ラ・バリックトウキョウ」のシェフ、伊藤延吉さんにも、そんな調味料との出会いがあった。
たとえば、オーナーでソムリエの坂田真一郎さんも推奨する「ガブリオ氏のケイパー」。初めて口に含んだ時、あまりの旨さに驚いた。ほどよい塩加減と風味のよさは、ケイパーの常識を覆すほどだったと言う。「知人が経営するバーでは、このケイパーをオリーブの代わりにマティーニに添えて出しています。カクテルやワイン、またパンとの相性も抜群で、調理しても香りが損なわれないのがいいですね」。
そのほか、ヒコイワシの身だけを使った魚醤「コルトゥーラ ディ アリーチ」もすぐれた調味料。魚の旨みエキスが上品にまとめられていて、ペペロンチーノなどのシンプルなパスタに塩代わりに使うとよさがわかる。「味にアクセントやキレを与える調味料の発掘は楽しい」という伊藤さんが、今後、坂田さんとともに選ぶ調味料に、期待が高まる。
コルトゥーラ ディ アリーチ
アンチョビの高級エキスという表現がぴったりの調味料。パスタだけでなく、オリーブオイルと合わせて、ドレッシングに。
佐勇
東京都港区六本木7-2-5
03-6804-5103
http://sayu.jp/company.php
カブリオ氏のケイパー
手摘み後、塩漬けにされたケイパーは、鶏肉や豚肉の煮込み料理にも合うし、粗いみじん切りにして、白ワインソースやバターソースのアクセントに。
手作りペペロンチーノ
トスカーナで作られたトウガラシで、香りが豊かで、その余韻が長く続く。「ミックス」はトウガラシ代わり、「黄」は野菜、「緑」はクリームパスタの味の引き締めに用いることが多い。
黒コショウ ネロ ディ サラワク
強烈な芳香と複雑な味わいの粒コショウは、肉叩きなどで粗くつぶし、肉料理に。仕上げに使って香りを楽しむ。
グリーンペッパーの塩漬け
フレッシュなコショウを塩水漬けにしたもの。煮込んでソースにしたり、細かく刻んで魚のカルパッチョに。
ノンナ アンド シディ
東京都渋谷区恵比寿西2-10-6大槻ビル1F
03-5458-0507
http://www.nonnaandsidhishop.com
チェーザレのワインビネガー
赤ブドウの香りが豊かなビネガー。コンソメと一緒に煮詰めたり、ソースのアクセントにする。
稲垣商店
東京都渋谷区鉢山町7-5
03-3462-6676
http://www.inagakishoten.com
アグロドルチェ(ブドウ酢)
酸っぱさと甘みとをそなえた調味料。トマトの冷製スープとの相性がよく、アワビの肝のソースの味わいを際立たせたい時にも。
ラシーヌ
東京都新宿区三栄町18-20パークサイド四谷5F
03-5366-3931
http://www.racines.co.jp
伊藤延吉さん
Nobuyoshi ITO
1976年、東京生まれ。21歳で渡伊。ヴェネト、トスカーナ、ピエモンテを回って修業を積む。帰国後、青山「アカーチェ」を経て2007年、「バリック」の料理長に。
リストランテ ラ・バリック トウキョウ
Ristorante La Barrique Tokyo
東京都文京区水道2-12-2
03-3943-4928
● 11:30~13:00LO 18:00~22:00LO
● 水、第2火休
● コース 昼3400円(平日のみ)、5500円、 7500円(土日祝のみ)夜7200円、9800円、13500円
● 22席
http://www.labarrique.jp
上村久留美=取材、文 星野泰孝=撮影
本記事は雑誌料理王国第221号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第221号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。