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【イル プレージョ】仔牛のローストに合わせる3種類のソース


バジリコのピュレ、アグロドルチェ、ストラコット3種のソースで仔羊を堪能する

岩坪滋さん イルプレージョ

「イタリア料理のソースには、トマトやバジリコなど、その土地の食材を生かした郷土色豊かなものが数多くあります。その基本の味をベースに考えながら、日本の食材も生かしたいですね」

「イルプレージョ」のオーナーシェフ岩坪滋さんには、"独自の味わい"を生み出す工夫がある。たとえば、バジリコのピュレに入るのは、焼いてうま味を凝縮させたフルーツカブ。さらに隠し味には、イタリアのガルムに代えて、日本のしょっつるが入る。

ソース作りにも、独自の工夫を盛り込み、新風を吹き込む

「仔羊の炭火ローストとともに楽しんでいただくストラコットとは、イタリア北部ピエモント州の郷土料理で煮込みを意味します」

仔羊のストラコットは、十分に煮込んだ仔羊の旨みが染み込んだ煮汁に、スーゴ・ダニェッロ(仔羊の骨でとったスープ)をプラスした煮込みソースで味わう。さらに炭火ローストには、さわやかなバジリコのピュレと、シチリア島の甘酸っぱいソース、アグロドルチェと、風味が異なる2種類のソースが用意された。

 ストラコットを含め、3種のソースで、仔羊のひと皿を味わうのだ。イタリア全土を修業の場とした岩坪さんならではの、この春からの新メニュー。オープンから2年も経ていないのに、一ツ星レストランとなり注目されたシェフだけのことはある。繊細、かつ芳醇なひと皿だ。

 仔羊のローストは、表面を焼いた後、オイルバス(58度のサラダ油の中に40分入れておく)で均一に火入れをし、しっとりとしたに肉質に仕上げる。そして、オイルバスから上げた仔羊は、備長炭の炭火で焼き、その香ばしさを纏う。

 隠れたところに、さまざまな工夫と技を駆使し、「日本の食材を生かしながら、イタリアの力強い料理を作りたい」と岩坪さん。36歳のシェフは、ソース作りにも新風を吹き込む注目の料理人である。

岩坪さん流「3種のソース」の合わせ方

 ランチもディナーもコースですから、新しいメニューを入れて、お客様にサプライズを味わっていただきたい。そのために炭火焼きローストと、じっくり煮込んだストラコットと味わいの異なった仔羊に、3種のソースで変化をつけて、香りと深みのあるひと皿に仕上げました。

Yutaka Iwatsubo
1978年、東京生まれ。辻調グループ エコール辻東京を卒業後、「アクアパッツァ」の日高良美さんに師事。その後、3年間、イタリア全土で修業。帰国後、「クッチーナ カッパス」、「リストランテ カシーナ・カナミッラ」の料理長を経て、2012年、「イ
ル プレージョ」をオープンする。

長瀬広子=取材、文 星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国221号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 221号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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