シャンカール式スパイスブレンドに登場したスパイスをはじめ、インド料理によく使われる21のスパイスを解説。科目や原産国を知ることで、スパイスをさらに深く理解できるはずだ。特性や香りに加え、アーユルヴェーダの考え方を参考にスパイスが持つ効能にも言及する。
(パウダー/シード)
〈科目〉セリ科
〈部位〉種
〈原産地〉エジプト
個性的な香りを引き出して使う
浄化のスパイス
独特の香りの主成分はクミンアルデヒド。ローストやテンパリングで、その香りを最大限に引き出して使う。どのスパイスとも相性がよく、特にコリアンダーといっしょに使われることが多い。アーユルヴェーダでは下痢や消化不良に用いられ、身体を浄化する料理「キチュリ(米と豆のお粥)」に欠かせないスパイスとされている。
(パウダー/クラッシュ)
〈科目〉セリ科
〈部位〉種
〈原産地〉地中海
カレースパイスに欠かせない
「調和のスパイス」
パクチーの種を乾燥させたもので、生の葉のような香りはない。柑橘系の爽やかな風味と心地よい苦みがあり、ホールを乾煎りするとアーモンドのような香りになる。カレースパイスに不可欠な「調和のスパイス」と呼ばれ、他のスパイスよりも分量を多く入れることでスパイス全体が馴染む。アーユルヴェーダでは頭痛の軽減、消化不良の改善に用いられる。
〈科目〉ショウガ科
〈部位〉根茎
〈原産地〉熱帯アジア
抗菌作用、抗酸化力など
薬効の高さに注目!
カレーの黄色を司るスパイス。加熱調理することで苦みが抑えられ、オレンジとジンジャーが混ざったような独特の香りが引き立つ。ターメリックの色素成分はクルクミンと呼ばれ、抗酸化力が高いといわれている。インドでは抗菌作用のある薬として重用され、アジアでは強壮剤や肝臓病の改善などにも利用されている。
(パウダー/ホール)
〈科目〉ナス科
〈部位〉成熟果実
〈原産地〉南米
品種ごとに異なる
辛さ、香り、旨みを使い分ける
カレーの赤と辛さを担うスパイス。辛味が強く香りも濃厚な「テジャチリ」、辛味が少なくピーマンのような香りの「カシミリチリ」、香り豊かで南インドで多用される「グンドゥチリ」など様々な品種があり、辛さや香り、旨みも異なる。アーユルヴェーダでは食欲増進や健胃薬になるほか、新陳代謝を上げる効果も。
(パウダー/スティック)
〈科目〉クスノキ科
〈部位〉樹皮
〈原産地〉スリランカ、南インド
甘い香りが特徴
肉料理と相性がいいスパイス
シナモンの樹皮を剥ぎ取って乾燥させたスパイス。甘く爽やかな香りで、ほのかな甘味も。北インド料理やモロッコのタジンなど肉料理と相性がいい。アーユルヴェーダでは、循環器の流れの強化や調整に用いられる。精神不安症状の緩和、婦人科系の代謝不全の改善、強壮、発汗、去痰、解熱鎮痛の作用があるといわれている。
text 馬渕信彦 photo 依田佳子
本記事は雑誌料理王国2020年6月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年6月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。