前回は、イベントや宴会運営者の立場で「コロナ期の宴会」についてまとめました。今回は、宴会をする側がお店に求めることをまとめました。多い時に月に15回も宴会の幹事をしたことがある経験などを活かし、非常事態宣言明けに宴会をすでに8回開催している経験を元にまとめてみました。
このような事態になると本当にお店の「対応力」が問われます。マニュアル通りで融通がきかないところもありますし、親身になって対応してくれるところもあります。まずは、面倒くさがらず客に対応する事がリピーターを離さないことにも繋がりますし、新規顧客に「しっかり対応してくれた店」とのイメージを与え、コロナ期間のみならずその後もお店のファンに新規客をする事でもあります。
お店の方たちが思っている以上、消費者はものすごく敏感で細かいことに反応します。善意や誠意などは伝わりやすく、「面倒だな」と言う感情はもっと伝わりやすいのです。まず、「コロナ期に宴会をする場合に消費者がお店に求めること」の一番は「誠意の有る対応」となります。これは、コロナに関係なくお店に消費者が求める一番のポイントです。
幹事は開催責任があります。せっかく予約した店が何も対策をしていない店であったり、対応が投げやりな店である場合は、その店を選択した幹事のメンツを潰すことになります。そうなると、宴会で来た人々がその後お店に来ることはまず無いでしょう。また、対応がまずいとその情報を宴会という多くの人が関わる形式上、多くの人にシェアされてしまう場合もあります。
その点を考えて、幹事や主催者の立場でのお店への要求をまとめてみました。あくまで、「こういう店であったら安心で宴会できる!」と言う要望なので、「めんどうくさい客だ」と思わないでください(笑)
これは、前段で書きましたが改めて。店の都合を押し付けず、開催者の要望にきちんと向き合ってください。これが、「この店で宴会をしたい」と思う最初のポイントとなりますし、「いい店だな」とお客に思わせるポイントでもあります。
入り口での検温用です。普通は非接触型体温計を持っている人は少ないので、お店の備品として用意しておいてください。体温計測はコロナの無症状感染者は防げませんが、リスクを下げるので、お店にある場合かなり嬉しいです。
入り口もですが、各テーブルに有るとさらに嬉しいです。気分的な問題もありますが、リスクを減らすためにも役に立ちます。受付などにも設置していただけると更にポイントが高いです。
大皿をみんなで突くのは楽しいのですが、それが感染のきっかけになる場合が多いと言われています。家庭内の歯磨き粉を介してクラスターが起こった事例もあるぐらいです。できるだけ、個人個人への小皿でのサービスをお願いします。また。それが不可能な場合は必ず取り分け用の箸を添える事をお忘れなく。とりわけの箸は、お客さんが使う箸とは別に違う箸にすると更に安心です。
お店としてはぎゅうぎゅうと入れ込みたいところでしょうが、それはリスクにしかなりません。また、お客さんの要求を効いてぎゅうぎゅうにするのも無責任です。それ故、会場のコロナ期の適正人数をきちんとお客に伝えて納得の上で利用してもらうように心がけてください。簡単な話で、集まる人数が少なければ感染者が来る可能性も自然に少なくなります。
宴会の場合受付の設営を行う場合があります。こちら、人が集まりやすいので、会場外に設置してあげる、並んでもソーシャルディスタンスが取れるようにするなど、いつもとは違う事を理解し、設置してあげてください。事前に確認しておくのも大事です。
飲食店でクラスターが起こった場合、換気の悪いことが多かったそうなので、
換気を徹底してください。特に地下のお店や窓がないお店は要注意です。そして、これからの季節お客さんに「換気のために空調が効きにくいかも」と事前に連絡しておいてください。どんなに席を離しても、換気しない場合は意味がないとの研究結果もでています。
マスクをそのまま机などに置くと衛生上問題があるので、マスクを保存しておくビニール袋を配ると親切です。
喫煙所はマスクをしない不特定多数の人が集まります。こちら、宴会のときは禁煙統一にしたほうが良いかと。こちら、幹事さんとしっかり事前に話しておいたほうがいいかと思います。
座敷での宴会の場合隣のグループと近いと気にする人が結構居ます。隣のグループとの間にパーテーションなどを立てるなど、広い入れ込みの座敷などでもできるだけ他のグループと混ざらないように気をつけてください。
お店で感染者が出た場合、一番被害を被るのがお店です。お店もキチリとお客さんに安全を守るための決まりを伝え徹底しましょう。文章化して同意書とするのがわかりやすいかと思います。
その内容としては
・移動時のマスクの着用。
・体温測定の徹底
・体調不良者の参加拒否
・厚生労働省のアプリのインストール
・フォームなどでの参加者の連絡先の確保
など、お店の実情に合わせて設定してください。お客様で嫌がる人もいると思いますが、良いお客ではないと判断し、お店に配慮できない人を断ることも大事です。
宴会をする場合、キチリと対策していると、来店する客の立場からすると、大義名分となります。「あそこはしっかりしている店だから、飲みに行っても安心」と思う店にみんな行きたがりますし、宴会の場合は「こういう対策をしてくれている店なので、皆さん安心してきてください」と幹事が参加者に伝える事ができます。些細なことのようなのですが、「行って良い理由」をきちんと示してあげることって大事なのです。この対策などをHPやSNSで広く伝えることも大事です。結構きちんと対策しているのに、それが見えてないお店が存在しますので。
こちらも、以前まとめた「宴会の仕方幹事編」と同じく、あくまで危険性を減らす手法です。これで、感染がゼロにはなりません。「こんな時期に宴会を進めるなんて!!」と言われればそれまでですが、我々はコロナと共存する必要があります。安全をお店と客が一緒に考え、今できる範囲で会食や宴会を楽しみ、コロナ前と同じことができるようにすべき時期に今は来ていると感じています。
今回は、お店が宴会などで取るべき対策をまとめてみました。早く昔の生活が戻ることを祈りつつ、しっかりと対策しこの難局をみんなで乗り切りましょう。
取材・文・撮影=菊池一弘
株式会社場創総合研究所代表取締役。羊好きの消費者団体羊齧協会主席。羊を常食とする地域で育ち、中国留学時にイスラム系民族の居住区に住んでいたことなどから、20代前半まで羊は世界の常識と思ってそだつ。本業は「人を集める事」企画から集客、交渉や紹介など。公的団体の仕事から、個人までできる事なら何でもやるスタンス。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。監修書籍に「東京ラムストーリー(実業之日本社)」「家庭で作るおいしい羊肉料理(講談社)」がある。