「シニフィアン シニフィエ」のパン作りテクニック


シェフの熱い注目を浴びるパン屋さん「シニフィアン シニフィエ」 志賀勝栄さん

レストランにおきたいパンのテクニック
パン・オ・ルヴァン

手間暇かけた2段階の発酵法で水分量の多い生地を、ふんわり、ほのかな酸味をもつパンに焼き上げる

材料(1回の仕込み分)

返り種
ルヴァン・シェフ 100g
水 280ml
全粒粉 400g

仕上げ種
返り種 680g
全粒粉 700g
水 400ml

生地
粉 2400g
仕上げ種 1080g
水 1815ml
塩 60g
モルト液 24ml
*モルト液は原液と水を同割で合わせたもの

作り方

返り種

1 ボウルにルヴァン・シェフと水を入れて計測し、スパイラルミキサーに入れる。こね上げ温度が上がりすぎないように水温に注意する。

2 全粒粉を入れ、低速で3分間、高速で1分間こねる。最初に水を入れておくと粉が混ざりやすい。

3 こねあがったら手でひとつにまとめてボウルに移す。ラップ紙で蓋をして、 28℃、湿度80%のホイロで2~6時間様子を見ながら発酵させる。

仕上げ種

4 返り種の発酵具合を確認後、680gをボウルに入れ、種の温度を測る。これは、次のこねあげの際、種が24~25 ℃以上に温まらないように加える水の温度を調整するため。

<ここがポイント>
発酵具合は香りや張り、触れた感じなど五感を使って確認します。

5 返り種同様に水、粉を計量し、スパイラルミキサーで低速で3分間、高速で1分間こねる。

6 28℃、湿度80%のホイロで2~6時間発酵させたら、冷蔵庫でひと晩発酵させる。

生地

7 ボウルに仕上げ種と氷水を入れて計測し、ダブルアームミキサーに入れる。 氷水を使用するのはこねあげ時間が長いため。塩、モルト液も入れ、泡立て器で軽く混ぜ合わせて塩を溶かす。

8 さらに全粒粉を入れて、低速で3分間、高速で14分間こねる。ダブルア ームミキサーはスパイラルミキサーよりも、より人間の手の動きに近く、やさしくこねあげられる。

9 こねあがったら生地をつまんで状態を確認する。こねあがりの目安は写真のようにツヤがあり滑らかに伸びた状態。 ボウルに移し、28℃、湿度80%のホイロで25分間休ませる。

分割・成形

10 手粉(フランスパン用の粉。分量外)をふった麺台に、ボウルから生地を出す。水分の多い生地なので、以下、手粉はたっぷりとふる。生地にも手粉をふって、1250gずつ分割する。

11 プラスチックケースにキャンバス地を敷き、手粉をふる。軽く丸めた生地をとじ目を上にして並べる。ケースに蓋をして、常温で15~30分間、休ませる。

12 カゴの上に麻布をのせ、全粒粉をたっぷりとふる。

<ここがポイント>
水分量の多い生地を長時間発酵させるので、目の粗い布と手粉でべたつきを抑えます。

13 全粒粉をふった麺台に生地を軽く広げ、小さく折りたたむようにしてやさしく丸める。手粉の種類を使い分ける細やかな配慮に注目。

発酵

14 しっかりととじ目をひねり、とじ目を上にしてカゴに入れる。そのままホイロに入れ、28℃、湿度80%で3~4時間発酵させる。

<ここがポイント>
水分が多くやわらかい生地なのでできるだけ負担をかけないようにやさしく扱います。

15 スリップピール(オーブンの中に生地を入れるための道具)の上にカゴをあけてとじ目を下に生地を並べる。 余分な粉はブラシでやさしくはらう。

16 生地の中央に型紙を置いて、らせん状にクープを入れる。大型のパンなので深さは1㎝と深め。

焼成

17 表面をのり状に固めて焼成後の老化を防ぐために、あらかじめ蒸気を注入したオーブンに入れ、再度蒸気を注入する。240℃で40分間焼く。焼き上がりは赤みがかった焦げ茶色の状態。高性能のオーブンで短時間でしっかりと焼き上げているので、クラストは薄いが香ばしく、クラムはしっとりもっちりと仕上がる。

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志賀勝栄
1955年新潟県生まれ。2000年より「パティスリ ーペルティエ」「ユーハイム・ディー・マイスター」などでシェフブーランジェを担当。06年10月、世田谷に「シニフィアン シニフィエ」をオープン。

text by Toshie Shimizu/photographs by Eiichi Takahashi

本記事は雑誌料理王国2007年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2007年10月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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