「自宅の6畳間は、ワインセラーになっています」と高澤さんは笑う。
ワインの試飲会にも足繁く通う。「そのなかで、『これはあと何年かねかせたらもっとおいしくなる』と感じる日本のワインがいくつもあります。ただ、日本のワイナリーは、ねかせておけるだけのストック力がないところが多いんです」
ならば自分でねかせて、もっとおいしくなったものを飲んでみたいと思う。もちろん、失敗も覚悟の上だ。
「ただ、おいしいワインを選ぶのではなく、料理と相乗効果を生むワインを楽しんでもらいたい。だから、この料理に合わせるのは、アルバリーニョという新潟のワイナリーのワインがいいと思います。わずかしか造られていないので、なかなか手に入りませんが、ハーブやミネラル、塩味を感じるところが、この料理と響きあうと思うんです」
シャトージュンの甲州は今年から使い始めた。
「甲州のニュートラルなイメージを覆す華やかさがとてもいいんです」
3本目はドメイヌソガ2005。「国産ブドウ・自社醸造100%にこだわる曽我さんお得意の、数種の品種を混ぜたワイン。なかでもこれは当たりだと思う。ゲヴユルツトラミネールのふくよかさと、ヴィオニエのオイリーさ、いくつかの品種の香り高さが相まって、とても複雑だけれど、すごく旨い」
4つ目のお気に入りは、城戸ProjectK。2003年に城戸亜紀人さんが初めて収穫したメルローで造ったワインだ。「城戸さんが100点だと思えたものだけがProjectKになるんですが、これ以降、Kは出ていない。日本離れしたボルドースタイルのワインで、骨格がしっかりした長熟のワインです」
最後は、CSetPVだ。「これはカベルネソーヴィニヨンとプチヴェルドを2対1で合わせたもの。よくできたしっかりしたワインです」
ワインの試飲会に行けば、「自分の肝臓が持つ限り飲む」と笑う高澤さん。トップシェフはまた、無類のワイン好きでもある。
■ 生産地 長野県塩尻市
■ 生産者 Kidoワイナリー
■ ブドウ品種 メルロ100%
■ 味わい・香り ・・・ 辛口。熟した黒い果実の香りと華やかな果実味。なめらかな渋みとバランスのよい酸が調和。
■ 合う料理 ・・・ ペッパーステーキや牛肉の赤ワイン煮込みなど、がっつりした肉料理と相性がよい。
■ 生産地 新潟県新潟市
■ 生産者 カーブドッチ
■ ブドウ品種 アルバリーニョ100%
■ 味わい・香り ・・・ 海に面した畑で育てられたブドウらしい塩味が感じられるのが特徴。ハーブ感やミネラル感も。
■ 合う料理 ・・・ 魚介類を使った料理との相性がいい。和食とも合わせやすい。
■ 生産地 長野県小布施
■ 生産者 小布施ワイナリー
■ ブドウ品種 ソーヴィニヨンブラン、ヴィオニエ 、ゲヴユルツトラミネール
■ 味わい・香り ・・・ 香りが高く、ふくよかさ、オイリーさなどがほどよくミックスした、複雑な味が魅力。
■ 合う料理 ・・・ 肉料理にも魚料理にも合わせやすいが、あっさりした料理のほうが好相性。
■ 生産地 山梨県笛吹市一宮町
■ 生産者 ダイヤモンド酒造
■ ブドウ品種 カベルネソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド
■ 味わい・香り ・・・ フルボディ。濃厚なルビー色で、香りが豊か。青っぽさがなく、角が丸いやわらかな味わい。
■ 合う料理 ・・・ ソースのかかった肉料理と相性がいい。すき焼きなどの甘辛系もいい。
■ 生産地 山梨県甲州市
■ 生産者 シャトージュン
■ ブドウ品種 甲州 100%TAKAZAWA価格 9000 円
■ 味わい・香り ・・・ 中口。洋ナシや柑橘類の香り。すっきりした酸味で後味に渋みが少ない。甘さはやや控え目。
■ 合う料理 ・・・ 魚料理にも肉料理にも合わせやすい。
Takazawa
東京都港区赤坂3-5-2サンヨー赤坂ビル裏側2F
03-3505-5052
● 18:00~21:00LO
● 不定休
● コース 20000円~
● 10席
山内章子=取材、文大野利洋=撮影
本記事は雑誌料理王国第230号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第230号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。