鎌倉駅から由比ケ浜大通りを歩くこと分。今年2月にオープンした「フランス料理エテ」でランチを楽しもう。店主の藤本恵史さんは、東京・池尻大橋の人気店「オギノ」のスーシェフを務めていた経歴の持ち主。たっぷりしたポーションながら、価格設定は昼コース2500円、夜3800円〜と控えめ。コースはこのプリフィクスが基本だが、夜は希望すれば「前菜だけ」「前菜とメイン」など自由に組むことができる。コストパフォーマンスとメニューの自由さという、修業店の人気要素をしっかり継承している。
鎌倉というと近海の魚介や鎌倉野菜を使った料理を売りにするレストランが多いなか、藤本さんお得意のフォワグラを使ったものなど、あえて〝肉〞料理で勝負。早くもランチは満席の日が続いているという。お隣の茅ヶ崎市でパン店「プレイン」を営むマダムの父親が、藤本さんの料理に合わせて配合を考え、焼くパンも評判だ。
肉料理でおなかを満たしたら、江ノ電に乗って、アジサイの咲き誇る長谷駅へ。訪れたいのは、創業明治15年という輸入食材店の草分け「三留商店」だ。料理誌で食材のコラム連載も持つ店主、三留一男さんの長年の勘を頼りに、希少かつ厳選された国内外の加工食品を販売。国外ものでは、三留さんがここ年来関心を寄せるイタリア産の割合が高い。加熱しないで使うのに適した風味豊かなノンフィルターのオリーブオイル、トスカーナ州の名リストランテ「カイーノ」の自家農園の果実で作ったジャムなど、なかなか手に入らないものばかりで、プロの料理人の来店も多いという。パスタや缶詰などの店先のサービス品ワゴンコーナーも見逃せない。
旅の帰りに再び鎌倉駅近くへ。「湘南ワインセラー」でお土産のワインを購入しよう。オンラインショップからスタートし、現在神奈川県内に3店舗を展開する同店の中で、この若宮大路店は、1500〜2000円とデイリーに飲める価格帯を中心に500種ほど揃える。ワインアドバイザーの資格を持つスタッフもいるので、安心して相談することが可能だ。すべてオーナーの花里誠一さんが試飲してから仕入れているが、最近は国内外の自然派ワインの製造技術の向上に注目し、取り扱う割合も増えているとか。ヨーロッパの歴史ある石造りのワインセラーを再現したという、花里さんの美学が貫かれた内装も、旅先でのワイン選びの気分を盛り上げる。
text:cuisine kingodom /photo:Kenta Yoshizawa
本記事は雑誌料理王国2011年7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2011年7月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。