全て分かりますか?豚の種類と部位


基本の品種

 明治中期にスタートした日本の養豚業だが、当初は英国から輸入したバークシャーと中ヨークシャーが中心。しかし、1960年にランドレースとハンプシャーが入ってくると、大型化が進んだ。さらに大ヨークシャーとデュロックが輸入され、養豚農家の大規模化も進んだ。現在、日本全国で飼育されている豚は約980万頭。上述の6種のほか、金華豚や梅山豚、北京黒豚といった中国産の豚や、沖縄の在来種であるアグー豚なども、数は少ないが飼育されている。

大ヨークシャー

大ヨークシャー豚の画像

イギリス原産。白色で大型。胴が長くて、耳が大きい。繁殖性に優れ、肉もたくさんとれることから、精肉用豚の交雑用品種として広く飼育されている。

中ヨークシャー

中ヨークシャー豚の画像

イギリス原産。白色で中型。顔がしゃくれている。体は強健で、キメの細かな肉を得られる反面、発育がやや遅く、飼育頭数が激減してしまった。

バークシャー

バークシャー豚の画像

イギリス原産。黒色で小型。これが鹿児島県に入り、現在日本では黒豚として知られる。脂肪は甘く、肉のキメが細かく締まりがある。

ランドレース

ランドレース豚の画像

デンマーク原産。白色で大型。脂肪が薄く、赤身とのバランスがいいことから、加工肉用として評価が高い。成長が早く、繁殖性に優れる。

デュロック

デュロック豚の画像

アメリカ原産。茶褐色で大型。成長が早く、たくさん肉がとれるのが特徴。きれいなサシが入っている。強健で、おもに種雄豚として飼われている。

ハンプシャー

ハンプシャー豚の画像

アメリカ原産。中型で黒く、肩から胸や前肢にかけて帯状に白い毛が入る。皮下脂肪が薄く、赤身の肉質が良い。暑さに弱いことなどから減少している。

豚の部位

豚肉は一般に下図のように細分され、小売販売のために、腱や筋膜、余剰脂肪を取り除かれる。このとき表面脂肪の厚さは、肩バラとバラをのぞき、ウデ、肩ロース、ロース、シンタマ、外モモは8mm以内、内モモについた脂肪は適度に取り除き、フィレについた脂肪は完全に取り除くことが定められている。

豚の部位解説画像
農林水産省 食肉小売品質基準より

肩の分割法
肩ロース(胸最長筋等)は、肩の第1頚椎下縁除去部から背線に平行に切り離す。次いで肩バラ(腹鋸節と胸筋等)を切り離し、残部をウデ(大円筋、広背筋等)とする。

モモの分割法
モモは内モモ(半膜様筋、内転筋、薄筋等)を切り離し、残部をシンタマ(大腿四頭筋)と外モモ(大腿二頭筋、半艇様筋、腎筋等)とに分割する。

三元交配とは?

 交配すると本来持っている肉質がそこなわれてしまう黒豚をのぞき、市場に出回っている豚の多くは、性質の異なる品種や系統の豚をかけ合わせて生まれた交雑種だ。例えば、ランドレースの雌と大ヨークシャーの雄を交配した交雑種を母豚とし、さらデュロックの雄を交配して3種類の豚の長所を合わせもった豚をつくるわけだ。

三元交配画像

 また最近は、産地や品種、特徴的な飼料や飼育方法などを名前に冠した銘柄豚やブランド豚も流通。現在、銘柄豚・ブランド豚は、250~260種類あるといわれている。

日本における豚の歴史

 仏教伝来以来、表向きには肉食が禁じられていたことに加え、動物性タンパク質を魚介類でまかなうことができた日本では、本格的に食肉が始まったのは幕末から明治初期のことだ。
 一方、養豚の歴史が長いヨーロッパでは、保存方法が発達。古くは塩漬け、13世紀にはいってアジアから香辛料がもたらされると、ベーコンやハムなどの加工品が誕生した。
 こうした歴史の違いから、豚肉文化も、世界的には加工品中心、日本では精肉中心に発展している。


山内 章子=文 水田純雄=イラスト

本記事は雑誌料理王国第226号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第226号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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