2024年6月から10月にかけて開催された「第1回カルローズ メニューアイディアコンテスト2024」(主催:USAライス連合会、後援:アメリカ大使館 農産物貿易事務所)の表彰式が11月13日に八芳園で開催された。本コンテストは昨年まで10年間にわたり開催されてきた「カルローズ料理コンテスト」をリニューアル。新しいおコメ料理のアイディアを募集する第1回目として開催された。テーマは「カルローズの食材力を生かした、新しいおコメ料理」。表彰式とともに行われた審査員たちによるパネルディスカッションをレポートしながら、最優秀賞、優秀賞に輝いたレシピを通じてカルローズの魅力や可能性についてひも解く。
2024年11月13日、東京都の八芳園にて、「第1回カルローズ メニューアイディアコンテスト2024」の表彰式が開催された。本コンテストは2013年から10年間にわたって、多くの料理人たちにカルローズを知ってもらい、実際に使ってもらうべく開催されてきた「カルローズ料理コンテスト」をリニューアル。新しいおコメ料理のアイディアを広く募集しその中から優れたものを選び抜き、それらを発信することで飲食店だけでなく一般の方々にももっとカルローズの美味しさや特長の活かし方を知ってもらうことが目的だ。
6月から9月までにプロフェッショナル部門104、学生部門267もの応募が集まり、9月27日の書類による一次審査ではプロフェッショナル部門10作品の入賞、学生部門3作品の優秀賞を選出(学生部門は一次審査のみ)。そして10月12日の二次審査で今回発表された最優秀賞と2名の優秀賞が決定した。
二次審査は服部栄養専門学校の協力のもと、講師たちが10のレシピを再現し、それを審査員が実食する形で行われた。審査員は株式会社クーニーズ・アソシエ代表取締役・青島邦彰さん、株式会社キュウプロジェクト代表取締役・佐藤幸二さん、南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長・稲田俊輔さん、料理家・管理栄養士・成澤文子さん、フレンチ料理人・SNS 料理家・深沢あやさん、作家・料理家・樋口直哉さんの6名。従前の「カルローズ料理コンテスト」の時代から審査員を務める青島さんをはじめとする料理人たちの中に、一般消費者たちと接する機会がより多く、彼ら彼女らと近しい目線からの意見を反映させる目的で3名の料理家たちが加わったのも、この「カルローズ メニューアイディアコンテスト」の特徴だ。
最優秀賞に輝いたのはリストランテt.v.b 井澤有美子さんの「無花果飯」。これはイカ飯のアレンジで、やわらく煮た無花果の中に白餡で和えたリゾットを詰めた和菓子のようなデザートで、冷たくてもおいしい・軽い食感・事前の下茹でが可能・味を吸収しやすいといったカルローズの特長が活かされた一品だ。審査員の稲田さんは、「カルローズの特殊性を活かせる料理の二大巨頭がライスサラダとリ・オレで、応募作品もこの2つに分類しうる料理が非常に多かった。その中でこれはリ・オレの発展形で、情報量の多い味だが見事にまとまっていて、多くの要素が実は全部必要だったと思わせてくれるのは底に隠れているカルローズがすべてを受け止めてくれるから。そういう意味で実はカルローズの特長を活かしきっていた」と評価する。
さらに優秀賞のグランドプリンスホテル広島 宗政 豊さんによる「カルローズの四川坦々風 ふわトロ卵添え」についても稲田さんは「中国料理で非常に一般的な『拌麺』の麺がおコメに置き換わったもので、それは日本米でも長粒米でもなくカルローズがしっくり来る。だから『拌麺』ならぬ『拌飯』にはカルローズを代表する料理としてライスサラダに匹敵するものに育つ可能性を感じさせてくれた」と語ってくれた。
また深沢さんはラー油やごま油、山椒油など多くの油を使っているところを評価した。カルローズには油との相性がよいという特長があり、だからこそ中国料理とも相性が抜群なおコメだと改めて感じたという。
もう一つの優秀賞であるル・プランタン 水野源太さんの「アオリイカのライスサラダ カルローズの出汁茶漬け仕立て」は料理家2名が特に高く評価した。成澤さんは「お米は炊飯がほとんどなのでゆで汁を使うレシピをあまり見たことがなかった点と、ベタつかないカルローズだからこそのレシピという点を評価し、「お米を茹でること自体が一般家庭ではまだなじみがないが、ゆで汁も使えるとなるとちょっと試してみたくもなるし、料理の幅が広がる」と語る。さらに深沢さんは「ライスサラダ、リゾット、チップス、そして出汁とカルローズ4つの調理法が使われていて、それらがそれぞれ食材に対してあっさり、軽く仕上げてくれる、冷たくても楽しめる、といったカルローズの特長が活かされていて、カルローズでしか出せない料理でうちでも楽しめる」と評価した。
その他の入賞作品についても例えば、XEX 東京 Salvatore Cuomo Bros. 及川健一さんの「カルローズと障泥烏賊のインサラータ”Sushi”」は、青島さんが「例年のコンテストであればこれが最優秀賞だったのでは、と今でも思っています」と評したように、ビネガーやオイルとの相性、そして冷たくしてもおいしいというカルローズの特長を活かした料理としての完成度の高さがうかがえた。合同会社SALLE DE LIBERTE 佐藤 安さんによる「バージン“腸活”ピニャコラーダ」については佐藤さんが「審査の中では米粒を残す方がカルローズらしさが出せるような話もあったが、結構意外だった。普通のお米だと重くなりがちだが、まったくそのようなことはなく、飲食店としてもカルローズを準備してストックして、あとはフルーツなどを合わせると色々なものに使えて実用的。アイディアとして本当によかった」と話してくれた。
このように斬新なものから定番のライスサラダやリ・オレの応用まで様々なレシピが出そろった「第1回カルローズ メニューアイディアコンテスト2024」、次年度以降への期待として、「繊細で緻密なレシピが多かったが、夢中になって熱々を頬張るようなカルローズならでは丼メニューを食べてみたい」と稲田さん、「カルローズを茹でるときは自分は茹でてから水で洗うのではなく自然と冷ますことで蒸らすような効果を得る。そのお米の特長をどう調理すれば活かせるのかを追求したレシピがあってもよい」と青島さんが語り、最後にモデレーターを務めた樋口さんが「井澤さんも水野さんもそれぞれ比較対象の非常に多いリ・オレ、ライスサラダの中で他とは全然違うレシピで狭き門をくぐり抜けてきた。そして宗政さんの四川坦々風は新しい使い方を提案するものということで、カルローズの方向性として3つの軸、バリエーションが整理できた第1回となった。そして食べ手の方にもこうしたカルローズの特性を少しでも知ることでよりおいしく感じてもらえたらよい」と総括し、パネルディスカッションを閉じた。
USAライス連合会
https://www.usarice-jp.com/
受賞作品のレシピはこちらからご覧いただけます。
https://www.usarice-jp.com/activity/pro_contest/2024/
photo: Gaku Yamaya, Yukako Hiramatsu