今年で2回目となる「料理王国大賞2025」の発表会が、1月7日に開催された。会場では各賞の受賞式のほか、2025年の料理界の課題を考える座談会が柴田泉編集長と3人のシェフによって行われ、まさに“料理人のための祭典”となった。
料理王国創刊30周年の2024年にスタートした「料理王国大賞」。第2回となる今年の受賞式が、東京
ミッドタウン八重洲で開催された。
日本の料理界を代表するシェフ67名へのアンケートで前年の活躍が印象に残るシェフを挙げてもらい、その結果により決定する料理王国大賞は、まさにその年の“顔”を選ぶアワード。当日は大賞、地方創生賞、読者賞、動画賞、特別賞の各賞の受賞式に加え、料理人と現役バイヤーが日本全国の優れた食材・食品を厳選する「料理王国100選」より、優秀賞10 品も発表された。
大賞に選ばれたのは、フォーシンズンズホテル丸の内東京「セザン」のシェフ、ダニエル・カルバートさん。2021年に来日したカルバートさんはわずか3年で「アジアのベストレストラン50」1位、「ミシュランガイド東京2025」で三つ星を獲得。日本・アジアの文化や食材を深く理解しリスペクトした料理と卓越したチームづくりの手腕が多くのシェフから賞賛された。カルバートさんは「日本で成功することが自分のキャリアにおいて最も困難だと思っていたので、今回の受賞は心から嬉しい。サポートしてくださったシェフの皆さんや、チームの皆に感謝したい」と受賞の喜びを語った。
また、受賞式に先立って行われた座談会では、アンケートで浮き彫りになった料理界の課題について、柴田編集長と手島純也さん、石田伸二さん、井上和豊さんが語り合った。
食材の高騰、人材不足、料理人の「修業と働き方」、料理の表現方法の多様化など、多くの課題と期待が入り混じる料理界は今、「おいしい料理で人に幸福感を届ける」料理人としての原点と素晴らしさを、改めて見直す時期である。シェフ達の言葉には、料理界を活性化させるヒントが詰まっていた。
大賞
セザン
ダニエル・カルバートさん
読者賞
ガストロノミー“ジョエル・ロブション”
関谷健一朗さん
特別賞
服部学園 服部栄養専門学校 理事長・校長
故人 服部 幸應さん
特別賞
ラトリエ・ドゥ・ノト
池端 隼也さん(能登の料理人の皆様 代表)
動画賞
菊乃井
村田 吉弘さん
地方創生賞
アル・ケッチァーノ
奥田 政行さん
text: Nobuko Minagawa, photo: Tomoko Osada