おうちで作ろう!アジアのスープ(カンボジア編)


暑い国ならではの素材と調味料の知恵

アジアンスープの最大の魅力は、ハーブの爽やかさ、柑橘系の清々しい香りと酸味、そしてトウガラシの辛味など、多彩な香りや酸味、辛さが織りなす複雑なグラデーション。米文化でつながった東南アジアのスープは各々独自のスタイルを守りつつも、互いに影響を与えている。

「おうちで作ろう!アジアのスープ」シリーズ、第3回目はカンボジアのスープを紹介します。

サムロー・ココー(野菜と炒り米のスープ)

炒り米の香ばしい香りととろみが魚のスープに好相性

炒った米でスープにとろみと香ばしさを加えた。丸ナスやパパイヤ、バナナなど、カンボジアの食材をふんだんに使用。魚や野菜のだしに多彩なハーブ類が香り、複雑なまろやかさを醸し出す。

材料(4人分)

カジキマグロ……1切れ

Aナス(皮をむいてスライス)……1/2本
丸ナス(くし形切り)……1個
直径約1袍の丸ナス……10個
インゲン(2袍長さに切る)……4本
カボチャ(2袍の角切り)……適量
料理用バナナ(スライス)……1/2本
青パパイヤ(せん切り)……適量
ココヤシの果実の胚乳部分(スライス)……適量
青菜(青梗菜、空芯菜など)……適量

ハーブペースト……大さじ1と1/2
プラホック……大さじ1
タックトレイ(魚醤)……大さじ1
砂糖……小さじ1
炒り米……大さじ2
揚げニンニク……小さじ1
豚骨と野菜のスープ…400~500ml
サラダ油……適量

作り方

(1)鍋にサラダ油を熱し、食べやすい大きさに切ったカジキマグロを炒める。ハーブペーストを加えてさらに炒め、プラホック、タックトレイを加える。
(2) 軽く炒めたら砂糖、炒り米の半量を加え、取り出しておく。
(3) (2)で使った鍋にAを入れて炒め、揚げニンニク、残りの炒り米、スープ100裨を加えて軽く炒める。残りのスープを加え、野菜がやわらかくなったら(2)を入れてタックトレイ(適量、分量外)で味をととのえる。
(4) 青菜を加えて火を止め、器に盛る。

料理用バナナ
ヨーロッパではプランテインと呼ばれる。果肉はかたく、食感はイモのよう。皮をむいて焼いたり揚げたりするほか、皮付きのまま蒸し焼きにすることも。カンボジアでは20㎝ほどの小ぶりのものが主流。

炒り米
米をフライパンで茶色くなるまで炒り、石臼で細かく潰したもの。スープなどに加えることで、とろみと香ばしさが出る。

サムロー・マチュー・クルーン(レモングラス風味の酸味スープ)

ハーブの香りにしっかり酸味。カンボジアの味の王道

マチューは「酸っぱい」、クルーンは「レモングラス」の意。カンボジアには辛くなく酸味をきかせた料理が多いが、これはその代表。香りの要となるのはハーブペーストで、酸味はタマリンドの量で調節する。

材料(4人分)

牛バラ肉(棒切り)……100g
空芯菜(3~4袍長さに切る)……1袋(約150g)
ハーブペースト……大さじ3
プラホック……大さじ1
タカノツメ(輪切り)……大さじ1
揚げニンニク……大さじ1
タマリンドジュース(固形のタマリンドを水で溶いたもの)……大さじ3~4
タックトレイ(ヌックマムに類似した魚醤)……大さじ1
豚骨と野菜のスープ……600ml
砂糖……小さじ1
塩……少量
サラダ油……適量

作り方

(1) 鍋にサラダ油を熱し、牛バラ肉、ハーブペーストを入れて炒める。香りが出たらプラホックを加える。
(2) 軽く炒めたらタカノツメ、揚げニンニク、タックトレイを加えてさらに軽く炒め、タマリンドジュース大さじ2を加える。
(3)空芯菜のかたい部分、砂糖、スープを加え、残りのタマリンドジュ ース、塩で味をととのえる。空芯菜の葉を加え、5分間ほど煮て器に盛る。

ハーブペースト
スープのほか炒め物などさまざまな料理に使われる。材料は下から時計回りにニンニク、コブミカンの皮、コブミカンの葉、レモングラス、ガランガル、レモングラス。これらを石臼ですり潰し、ターメリックパウダーを加えて混ぜ合わせる。

プラホック
淡水魚を塩漬けし、発酵させてペースト状にした調味料。魚を発酵させた独特の味わいと香りを持ち、カンボジア料理には欠かせない。

「おうちで作ろう!アジアのスープ」シリーズ
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佐藤わか子 文、むかさゆうすけ 写真

本記事は雑誌料理王国第167号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第167号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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