【保存版】チーズ図鑑 フランスAOPチーズ牛編


原産地統制呼称(POD)を、フランス語では「Appellation d’origine protégée」から AOPとして表記し、食文化遺産を守っている。ここではAOPに認定されたチーズのうち、牛乳製の28種類を紹介。フランスのチーズ文化の奥深さを知ってもらいたい。

牛乳製

オーヴェルニュ地方
= フルム・ダンベール Fourme d’Ambert=

標高600~1600mの高地で草を食べた牛のミルクからつくられる。ブルーチーズの中でも優しい味わい。
(AOC認定 1972年 / 2012年の生産量 5,307t)

オーヴェルニュ地方
=サレール Salers=

牛の群れが放牧される4月15日から11月15日の間だけ製造される。重さ40㎏の農家チーズ。
(AOC認定 1961年 / 2012年の生産量 1,266t)

オーヴェルニュ地方
=ブルー・ド・ヴェルニュ Bleu d’Auvergne=

羊乳のチーズ、AOPロックフォールの製法をまねてつくられた青カビチーズ。香り高く熟成した味わい。
(AOC認定 1975年 / 2012年の生産量 5,561t)

オーヴェルニュ地方
=カンタル Cantal=

古代ローマの植物学者プリニウスが「世界で最古のチーズ」として紹介。熟成段階による味わいを試したい。
(AOC認定 1956年 / 2012年の生産量 13,858t)

オーヴェルニュ地方
=サン・ネクテール Saint-Nectaire=

太陽王ルイ14世の食卓にも届けられたことで知られる。なめらかでやわらかい生地で、外皮が美味。
(AOC認定 1955年 / 2012年の生産量 13,285t)

ルイ14世の食卓にも届けられたチーズ。

アキテーヌ地方とミディ・ピレネー地方
 =ライオル Laguiole=

オブラック高原で生育された牛のミルクから最低4カ月の熟成を経て、通年製造される。重さ50㎏ほど。
(AOC認定 1961年 / 2012年の生産量 715t)

アキテーヌ地方とミディ・ピレネー地方
 =ブルー・デ・コース Bleu des Causses=

小石の多い荒れ地で生まれたチーズ。タルン渓谷の洞窟内にある自然のカーヴで最低70日間熟成される。
(AOC認定 1953年 / 2012年の生産量587t)

洞窟のカーヴで70日以上熟成させた。

ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方
=エポワス Époisses=

香りは強いものの、味わいのバランスが良くやさしい味わい。シトー派の修道僧によってつくられていた。
(AOC認定 1991年 / 2012年の生産量 1,189t)

ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方
 =シャウルス Chaource=

ソフトタイプでなめらかなチーズ。牛乳の全乳をゆっくり凝固させて、型入れし、塩をまぶして乾燥させる。
(AOC認定 1970年 / 2012年の生産量 2,453t)

ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方
 =ラングル Langres=

熟成中一度も反転させないこのチーズは、頭のくぼみで熟成度合いがわかる。深いほど熟成が進んでいる。
(AOC認定 1991年 / 2012年の生産量 465t)

くぼみの深さを見れば熟成の度合いがわかる。

フランシュ・コンテ地方とアルザス・ロレーヌ地方
 =モン・ドール Mont d’or=

期間限定のチーズで、9月10日から5月10日の間のみ販売が許可されている。なめらかでとろける生地。
(AOC認定 1981年 / 2012年の生産量 4,770t)

フランシュ・コンテ地方とアルザス・ロレーヌ地方
 =モルビエ Morbier=

夜と翌朝、2度、型に牛乳を流し込んでつくるため、スライスしたような灰のラインが入る。
(AOC認定 2000年 / 2012年の生産量 8,045t)

フランシュ・コンテ地方とアルザス・ロレーヌ地方
 =マンステール Munster=

2日おきに塩水で洗いながら、湿気の多い熟成庫に置かれたのち、出荷される。キッシュやオムレツなどに。
(AOC認定 1969年 / 2012年の生産量 7,403t)

フランシュ・コンテ地方とアルザス・ロレーヌ地方
 =ブルー・ド・ジェクス・オー・ジュラ Bleu de Gex Haut-Jura=

ジェラ高地でモンベリアルまたはシンメンタール種の牛のミルクからつくられる。マイルドな味わい。
(AOC認定 1977年 / 2012年の生産量 445t)

フランシュ・コンテ地方とアルザス・ロレーヌ地方
 =コンテ Comté=

1個のコンテをつくるのに平均450 ℓのミルクが必要で、最低4カ月熟
成、長いと18~24カ月のものも。
(AOC認定 1958年 / 2012年の生産量 48,711t)

1つのチーズに450ℓの牛乳を使用

ノルマンディー地方
 =カマンベール・ド・ノルマンディー Camembert de Normandie=

フランスで最も有名。オタマですくって、40分ごとに5回ミルクを型入れする製造法が決められている。
(AOC認定 1983年 / 2012年の生産量 4,617t)

ノルマンディー地方
 =ポン・レヴェック Pont-l’Evêque=

黄金色からオレンジ色の外皮で守られた生地はなめらか。干草のような香りのウォッシュタイプのチーズ。
(AOC認定 1972年 / 2012年の生産量 2,481t)

ノルマンディー地方
 =リヴァロ Livarot=

スモークした肉のような強い香りと濃厚な味わい。熟成中の型くずれを防ぐため5本の紐で巻かれている。
(AOC認定 1975年 / 2012年の生産量 1,053t)

型くずれを防ぐために紐で巻いてある。

ノルマンディー地方
 =ヌーシャテル Neufchâtel=

ふかふかした産毛のような白カビで覆われた外皮と、軽く塩気があり、ミルクの風味と、なめらかな生地。
(AOC認定 1969年 / 2012年の生産量 1,456t)

ローヌ・アルプ地方
 =ブルー・デュ・ヴェルコール・サスナージュBleu du Vercors Sassenage=

わずかな農家が、夕方搾りのミルクに、翌朝搾ったミルクを混ぜるという伝統的な製法を守り続ける。
(AOC認定 1998年 / 2012年の生産量 214t)

ローヌ・アルプ地方
 =フルム・ド・モンブリゾン Fourme de Montbrison=

青カビの入った繊細なカード全体に加塩し、最低6日間脂のでる木の棚で乾燥。晩春と秋には独特の香り。
(AOC認定 1972年 / 2012年の生産量 476t)

ティエラッシュ地方とブリー地方
 =ブリー・ド・モー Brie de Meaux=

わずかな農家が、夕方搾りのミルクに、翌朝搾ったミルクを混ぜるという伝統的な製法を守り続ける。
(AOC認定 1998年 / 2012年の生産量 214t)

ティエラッシュ地方とブリー地方
 =ブリー・ド・ムラン Bnie de Melun=

同じ地区のブリー・ド・モーに比べて芳香が高く、複雑で、わずかに酸味のある乳酸の風味がある。
(AOC認定 1980年 / 2012年の生産量 267t)

ブリー・ド・モーとよく似た兄弟チーズ。味はけっこうちがう。

ティエラッシュ地方とブリー地方
 =マロワール Maroilles=

フランス北部を代表するチーズ。定期的なブラッシングと塩水によるウォッシングが品質を決める。
(AOC認定 1976年 / 2012年の生産量 4,302t)

サヴォワ地方
 =トム・デ・ボージュ Tome des Bauges=

1930年代に生まれた比較的新しいチーズ。非加熱の圧搾チーズで、最低5週間熟成させる。
(AOC認定 2002年 / 2012年の生産量 920t)

サヴォワ地方
 =アボンダンス Abondance=

定期的に塩水でふき、100日間熟成。引き締まっていてやわらかい生地とわずかなヘーゼルナッツの香り。
(AOC認定 1990年 / 2012年の生産量 2,179t)

サヴォワ地方
 =ルブロション Reblochon=

有名なタルティフレットに欠かせないチーズで、夏の果物や野菜、スパイスと合わせると良い。
(AOC認定 1958年 / 2012年の生産量 15,013t)

サヴォワ地方
 =ボーフォール Beauforts=

製造途中、麻布でくるみ、側面が盛り上がったブナの丸木枠に入れられるため、側面がくぼんでいる。
(AOC認定 1968年 / 2012年の生産量 4,900t)


編集協力=SOPEXA 写真協力=CNIEL / EU special thanks to SOPEXA, photos by CNIEL / EU

本記事は雑誌料理王国第250号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第250号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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