3人の人気シェフが表現する「新時代のクラシック」


古きを訪ねて、新しい発見を

Yaoyu 鳥海智史

2017年、神田に「Yaoyu(ヤオユー)」を構えた鳥海智史シェフも、クラシックを尊重する。スタイリッシュに見えるYaoyuの料理だが、根底にはフランス料理の伝統的な技術、考え方が流れている。

ビストロで鴨のコンフィやパテ・アンクルートのおいしさに目覚めたことで、フランス料理の道に入ったという鳥海シェフ。「きちんと仕事を施した、フランス料理らしいフランス料理が自分の原点です」という。 メインとなる素材に緻密に火を入れ、フォンやソースなど、凝縮感がある要素を重ねて相乗効果を作り上げていくー。そんな “構築する面白さ”がフランス料理にはある。

「私にとって、フランス料理は“因数分解の料理”。分解し、足したり引いたり掛け合わせたりしながら思い描いたイメージを実現していける。そこが最大の魅力です」。

また、「伝統的な味の組合せには、たしかなおいしさがある。その揺るぎなさに魅力を感じます」とも。今回紹介してくれた2品も、伝統料理や伝統菓子からスタートして、独自の組合せを作り上げながら仕立てた料理。モダンなコントラストの中に、伝統に基づく盤石なおいしさがひそんでいる。

王道のおいしさと、スタイリッシュな仕立ての融合

フランス、
ホワイトアスパラガス

原形はこの料理!
ホワイトアスパラガスのオランデーズソース

ゆでたフランス産ホワイトアスパラガスに、トリュフ入りの卵黄のエスプーマ、パルミジャーノチーズのペーストを添えた。発想としては、まずは定番「ホワイトアスパラガスとオランデーズ(卵黄とバター、レモン果汁や酢を乳化させたソース)」の「卵黄」にフォーカス。そこから卵黄とパルミジャーノチーズを使う定番のパスタ、カルボナーラを連想し、要素を取り入れた。ジャンルを超えつつ、伝統的な味の組合せを足がかりに構成した一皿。

大人のイチゴミルクを表現

イチゴのヴァシュラン

原形はこの料理!
イチゴのヴァシュラン

春、フランスの菓子店やビストロに並ぶ「イチゴのヴァシュラン」は、サクサクのメレンゲとなめらかなホイップクリーム、イチゴの組合せがおいしい伝統菓子。その進化版がこのデザート。イチゴ、ジュレ、ソース、メレンゲを組み合わせる。ジュレは、レモンとライムの果汁、ヴァニラビーンズ入り。ソースは、ハイビスカス。清涼感ある香りと複雑な酸味が印象的。「全要素を一気に口の中に入れると“大人のいちごミルク”になる」、と狙った一品。


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