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パーレンテッシ流!「クラッテロ」のつくりかた


麹で漬け、発酵食品としての豚肉加工品の可能性を探る。

ピッツェリア パーレンテッシ 中野秀明さん

イタリアを代表する生ハムのひとつ、クラテッロ。豚モモ肉の余分な皮と脂肪を取り除いて作られ、洋梨型の形状が特徴だ。このクラテッロの故郷はイタリア・パルマ県ジベッロ村のポー川沿い。「ジベッロ村は日本と同様、湿度が高い場所。であれば自分でもできる」と始めたのが「ピッツェリアパーレンテッシ」の中野秀明さんだ。

豚肉は国産。イタリアのものより小さいので、モモ肉と尻肉を合わせて使用。入手しづらい膀胱はケーシングを利用している。

ひと口に国産豚といっても使用する種類はさまざま。十勝産、沖縄のパイナップル豚や鹿児島の黒豚など9種類を使い、肉の締まり、甘さ、風味などの違いも楽しんでいるという。

クラテッロを作り始めて6年、「パーレンテッシ」は今、転換期を迎えている。「今までは、いかにしたらイタリアに近づけるかに注力してきました。でも自分は日本人で、これからはもっと日本のよさを取り入れたい」と語る中野さん。そうして生まれたのが米麹に漬けたクラテッロだ。麹や味噌など日本は発酵文化のある国。クラテッロもいわば発酵食品。であれば、このふたつの組み合わせはうまくいかないわけはないと始めたのである。

米麹で漬けたクラテッロ第一弾はこの冬仕込んだばかり。熟成に12〜16カ月かかるので、実際に食べられるのは、早くて来年の春となる。「どこまで旨味の凝縮したクラテッロになるのか、わくわくしています」。はたしてどうなるか、大きな期待がかかる。

クラテッロを使ったひと皿
クラテッロとルッコラのピッツァ

クラテッロはすでに完成品なので、なるべく余計な手は加えない。石臼でひいて12日以内、全粒粉入り国産小麦粉を使ったピザ生地をパリッと焼き、モッツァレッラ、クラテッロ、ルーコラをのせ、パルミジャーノ・レッジャーノをふって仕上げる。

米麹と国産豚を使った日本らしいクラテッロに挑戦

1.豚のモモ肉と尻肉は、米麹、塩、少量のきび糖を混ぜたものを、できるだけすり込ませるようにしながら全体にまぶし(写真A)、ラップ紙をして冷蔵庫で4 ~7日間ねかせる。
2.食品用脱水シートを巻いてひと晩おき、表面の水分をとる。
3.肉の内部に空気が入らないように、タコ糸でしっかりと縛る(写真B)。このとき、内部に黒コショウをすり込むことも。

4.無数の穴をあけたセルロース製のケーシングで全体を包み(写真C)、まずは両端をタコ糸で縛る(写真D)。
5.横数カ所をしっかりと縛り、空気を抜きながら、縦横にタコ糸をかける。最後のほうは指が入らないほどになるので、スプーンを使うなどしてしっかりと締め上げる(写真E)。

6.冬場は暖房のない風通しのよいところで、夏場は冷蔵庫で3~5カ月間ねかせる。
7.常温に吊るし、1年以上熟成させる。吊るして間もない頃は、下部に脂が落ちてくるので、拭く(写真F)。

中野秀明さん
1968年宮城県生まれ。中国料理店を経て、都内のイタリア料理店で10年修業後、99年に「ピッツェリア パーレンテ ッシ」オープン。ハムを筆頭にバルサミコ、ワインなどは自家製。野菜も宮城の実家が営んでいる農園から仕入れる。小麦は農家と契約し、昨年から麦まき、麦ふみ、手刈りによる収穫をみずから行う。

text:Noriko Hane /photo:Takashi Kawamura

本記事は雑誌料理王国2011年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2011年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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