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キッチンの必需品!シェフが惚れ込む調味料3選 下村浩司さん(エディション コウジ・シモムラ)


一流シェフたちが「自分の料理に欠かせない」と惚れ込む調味料とは、どのようなものか? この連載ではシェフに愛用する3種類の調味料を紹介する。今回登場するのは「エディション コウジ・シモムラ」の下村浩司さん。

コロナ前は海外への食材探しの旅をくり返し、ヨーロッパはもちろん、アジア、南米などさまざまなシェフとのコラボレーションもおこなってきた下村さん。最近は国内の食材に強い興味を示すようになった。そうした幅広い関心を反映し、フランス料理店としては異色な調味料も普段から使用。今回紹介してくれた3品はその好例だ。

下村 浩司
1967年生まれ、茨城県出身。90年に渡仏しミシュランガイド3つ星の「ラ・コート・ドール」、「マーク・ヴィエラ」、「ジャック・シボワ」などで合計8年間経験を重ねる。帰国後は「Restaurant FEU」(乃木坂)のシェフなどを経て2007年に独立、東京・六本木一丁目に「エディション コウジ・シモムラ」をオープン。翌年にミシュラン2つ星を獲得、現在も維持する。

【シェフが惚れ込む調味料①】天領日田 大山梅エキス (大分県日田市・菅原農園フキ工房)

九州では、梅の産地といえば大分県の日田といわれている。その日田で、自然栽培にて育てられた梅の果汁を、3日間煮詰めて作るエキスがこちら。生の梅1kgから20gしかとることができない貴重な製品である。ギュッと凝縮した酸味と甘みが特徴だ。

下村さんとこの梅エキスの出会いは、日田を訪れた際に足を運んだ道の駅でのことだった。梅エキスは地元では胃腸の調子が崩れた時に飲むものとされ、近年は健康食品としても扱われるようになった。しかし下村さんはこれを料理に使う。「味見をしたら、強くて深い酸味がある。これは料理にも生かせるはず、と思いついたのです」。

たとえば、カツオのたたきが主役の一皿では、薬味的にタマネギのサラダを添えるが、そこではこの梅エキスで味付けしたドレッシングを使っている。「梅エキスのドレッシングはカブのサラダにも合うでしょうね」ともいう。

「地方には、地元以外に知られていない調味料や食品がたくさんあります。そうした品々は、意外にも従来とは異なる用途で使うとおもしろい結果を見せてくれたりするものです」。梅エキスはまさにその一例だ。

【シェフが惚れ込む調味料②】パンカ ホットペッパーペースト ペルー・ドニャイザベル社製 (輸入元・(有)スダメリカコーポレーション)

「こちらは、ペルーのシェフとコラボレーションイベントをした際に教えてもらった調味料です。トウガラシのペーストですが、辛さは穏やかで、風味と旨みを強く感じます」

ペルー料理にトウガラシは欠かせない存在。種類が豊富で、生、乾燥品、ペーストなどさまざまな形状で売られている。この「パンカ ホットペッパーペースト」はそんな中の一例だ。

「辛さはやさしく、後味にじんわりと感じる程度。旨みを強く感じます。風味も熟成感があって、豊かでありながら穏やか。煮込みのアクセントにぴったりです」

牛テールやジビエの煮込みのほか、カレーにも合う。旨みが強いので、トマトソースの香り付けにも活躍。「使う際はオリーブオイルなどの油でよく炒め、香りを立たせるのがポイントです。スパイスを料理に使う際の感覚ですね」という。

【シェフが惚れ込む調味料③】芳香落花生油 (千葉県・サミット製油株式会社)

サミット製油は食用から化粧品用、工業用までの幅広い油を作っているメーカー。いずれの油も、用途に応じた最上の原材料を仕入れ、油の製造から充填まで自社工場で一貫して行う。品質を徹底して追求することで信頼を得ている製油会社だ。

今回紹介するのは、そのサミット製油のピーナッツオイル。生のピーナッツ豆をていねいに搾ることで、風味を繊細かつ格調高く仕上げている。

「こちらは20年間以上愛用しているオイルです」と下村さん。「さまざまに使うことができますよ。トリュフやアワビなどの力強い香りを持つ素材と合わせると、このオイルが持つナッティな香りと調和します。チョコレートともよく合い、デザートに使うこともありますね」。

肉料理や魚料理のソースを作る際に、仕上げに加えて乳化させることも。「フランス料理ではソースはバターで乳化させるのが定番ですが、バターの代わりにこのオイルを使うイメージです。軽やか、かつ風味豊かなソースに仕上がります」。

エディション・コウジ・シモムラ
【住所】東京都港区六本木3-1-1六本木ティーキューブ1F
【TEL】03-5549-4562
【URL】https://www.koji-shimomura.jp/

取材・文・写真 =柴田泉 


柴田泉
東京多摩地区生まれ、横浜育ち。大学で美術史を学んだのち、食の専門出版社「柴田書店」に入社。プロの料理人向けの専門誌『月刊専門料理』編集部に在籍し、編集長を務める。独立後は食やレストランのジャンルを中心とするライター・編集者として活動する。




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