高温か、低温か、によって生まれる食感の個性。「志摩観光ホテル」総料理長 樋口宏江シェフの火入れ


伊勢海老をソテーに

上下ふたつの熱でふっくら焼き上げる

沸騰した湯に生きた伊勢海老を入れて1分間ゆでる(写真①)。半分に割る。殻に付いた部分の身のみに火が通り、中はまだ生に近い状態(写真②)。食べやすいように殻から身をはずし、また殻に戻しておく。フライパンにオリーブオイルを入れ、殻が下になるように伊勢海老を入れる。ひっくり返さず、アロゼしながら火を通す(写真③)。頭部と胴部で身質と形状が異なるので、それぞれ分けて火を入れる。そのままサラマンダーに入れて焼き色をつける(写真④)。身がふっくらとふくれたら焼き上がり。

季節の野菜をブイヨンでエテュヴェに

肉や魚の付け合わせには地元でとれた野菜をよく使う。ホテル伝統のフォン・ド・ヴォライユ(チキンブイヨン)を少し足しながら、エテュヴェにすると、生とはまたひと味違った野菜の甘味がぐっと引き立つ。

アロゼ(Arroser)とは
油脂や肉汁を素材にかけながら焼くこと。厚みのある肉や魚によく用いられる。素材表面の乾燥を防ぎ、ツヤよく仕上がる。また、片面だけではなく両面から火が通るため、素材に均一に火がゆっくりと入っていき、ふっくらと仕上がる。

伊勢海老のソテー にんじんと柑橘のソース

真っ赤な伊勢海老に溶け込むオレンジ色のソースはにんじんのジュと地元産のデコポンのジュを1:1で合わせたもの。にんじんのソテーと内子のパウダーを添えて。にんじんの葉のフリットが香りと食感のアクセントに。


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