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トップシェフが引き出す!アイリッシュ グラスフェッドビーフの魅力


ここ数年、日本でも注目を集めているのがグラスフェッドビーフだ。野外に放牧され、牧草を食べて育つ牛は、ビタミンやミネラルなどの栄養価を豊富に持ち、豊かな滋味を帯びている。国土の85%が緑地というアイルランドでは、こうした野外放牧が盛んだ。降水量が豊富で、温暖な気候のアイルランドは、牧草が成長する季節が長いため野外放牧に最適な環境を備えている。

Tim Meagher’s beef farm at Roscrea, Co. Tipperary.

アイルランド政府は独自にグラスフェッド スタンダードという基準を設けているため、品質の高さも人気の理由だ。その基準とは、牛が一生のうちに食べる飼料の90%が牧草であること。離乳期や冬場、悪天候などにより牧草以外の飼料も与えられるが、その割合は生涯で10%以下と厳しく定められている。また、野外放牧は気候のよい土地では年間で300日以上にものぼり、平均でも220日と牛はほぼ放牧で育つことが分かる。さらに個々の牛によって、一生に与えられた飼料の履歴などが明確にされているので、そこに基づいた評価がきちんとなされている。

家族経営の小規模な農場が多いのもアイルランドの利点で、ひとつの農場で牛は平均17頭と少なく、大多数が1ヘクタール当たり2頭未満の飼育かつ、草地を区画に分けて、区画ごとに牛を移動させていくパドックシステムという放牧法をとっている。牛は広い牧草地でのびのびと飼育され、ストレスを感じることなく育つ。その肉質はほどよい脂を持つ赤身で、繊維が柔らかく、日本人にも好まれる繊細な牛肉となる。

シェフが驚いたその肉質とは?

 「外国産と聞いて、始めは赤身で硬く締まった肉を想像していましたが、使ってみると全く違いますね」と話すのは、日本橋『La Paix』の松本シェフ。肉の質によって、調理方法を全く変えるという松本シェフだが、『アイリッシュ グラスフェッドビーフ』には、和牛と似た調理法を選択したという。

「赤身で締まった牛肉ならば力強く火を入れます。でもこの肉は、和牛と同じように繊細にしっとりと焼き上げたいと考えました。脂が少ない赤身なのですが、柔らかい肉質には驚かされましたね。外国産の牛肉は本来ひきしまった肉質が魅力です。日本でも今は赤身の肉が人気ですね。でも日本人は柔らかい和牛を食べ慣れているので、お客様の中には、外国産の牛肉は硬いと考える方もいらっしゃいます。『アイリッシュ グラスフェッドビーフ』は、そういう方にも受け入れてもらえるはずです」。

松本シェフが考える『アイリッシュ グラスフェッドビーフ』の火入れはひたすらに繊細だ。40~50℃というオーブンの種火で2~3時間かけてじっくりと火を通す。そうすることで、『アイリッシュ グラスフェッドビーフ』の持ち味を生かし、ふんわりとした弾力を保ちつつ、しっとり焼き上がるという。

松本シェフによる旨味を最大限に活かす火入れ

塩、こしょうで下味をつけた肉は、フライパンで表面の脂を焼くような感覚で火を入れる。溶けた脂をかけながら全体をまんべんなく焼き、骨の周りは火が入りにくいのでややしっかりと焼き付ける。

40~50度の低温のオーブンに入れ、2~3時間ゆっくり焼き上げる。指で押して硬さを確かめながら、イメージ通りの焼き加減に仕上げる。

フライパンにたっぷりのバターを溶かして熱し、オーブンから取り出した肉の表面をカリッと香ばしく焼きつける。溶けたバターを回しかけながら、バターの風味をまとわせる。

藁を敷いた鍋に入れ、バーナーで藁を炙ってふたをしてしばらく置く。鍋から取り出して、食べやすいサイズに切って、盛り付ける。

日本らしいテイストを加えるため、最後に藁で炙って香りを付けている。ソースは、ステーキには定番のベアネーズソース、黒七味を加えた肉汁のソースの2種類を添えている。付け合わせはスパイシーなかぼちゃのピュレ、香ばしく焼いたやヤングコーンやアスパラなど。

詳しくは動画をご覧ください。

アイリッシュ グラスフェッドビーフに関するお問い合わせ
アイルランド政府食糧庁Board Bia(ボード・ビア)
https://irishbeef.jp/

松本一平シェフ
1974年、和歌山県生まれ。国内のレストランを経て渡欧。ベルギーのミシュラン一つ星店「レッソンシェル」(ナミュール)などで腕を磨いた。帰国後は「オー・グー・ドゥ・ジュール・メルヴェイユ」のシェフとして腕を振るったのち、自身の店『La Paix』を開店。


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