プロが惚れる食材ヨーロッパチーズ。日本料理との相性に迫る。山下春幸さん(HAL YAMASHITA)


~日本でEU産のチーズを!ヨーロッパチーズと日本の発酵食品を組み合わせた「パーフェクトマッチ!」~

10月 7・8日、東京ビッグサイトで開催された「外食ビジネスウィーク2021/全国 食の逸品EXPO」。このイベントで、食品業界関係者向けに、EU産乳製品と日本食材の『パーフェクト・マッチ!セミナー』が開催されました。

7日はEU産乳製品のチーズ、8日はバターをテーマに開催され、人気シェフによるオリジナルレシピのプレゼンテーションも実施。ここでは、10月 7日のセミナーの模様をレポートします。

長い歴史の中で培われてきた本物の味わい

ヨーロッパチーズの特徴は、ナチュラルチーズの種類の多さ、豊かな風味や深い味わい、高い品質にある。長い歴史を持つヨーロッパでは、15世紀には原産地に保護する試みが始まった。その後、高い保護制度が確立され、現在では高い衛生基準を設け、クリーンな製法を行なっている点も重要だ。何世紀にもわたって作られてきた本物の味わいがEU産チーズにはぎゅっと詰まっている。

小林恵氏
河村亮一氏


最初に登壇したのは、駐日欧州連合代表部 通商部 上席通商担当官の小林恵氏。開催の挨拶とEU産製品の特徴が紹介された。「チェスコ株式会社」販売統括部営業企画課⻑の河村亮一氏からはEU 産乳製品の日本におけるマーケット状況や今後の展望について説明が行われた。


次いで、「HAL YAMASHITA」オーナー兼エグゼクティブシェフ、山下春幸氏が登壇。EUチーズや食材を使ったレシピの提案と試食が行われ、質疑応答を経て1時間のセミナーは閉会となった。

シェフが語るヨーロッパチーズの魅力


「概して、EU産の食材は味がはっきりしていて、それはチーズも同じです。力強い味わいがあり、それぞれに個性がはっきりしている。長い歴史に培われた本物の味があります。そして安全基準が高いことも、レストランではとても大事なポイントです」


「私が提案している“新和食”は、素材の持ち味を最大限に引き出すことをモットーとしています。個性的なEU産チーズは、アクセントに使ったり、下味の奥行きを出すのに活用したりするのにぴったりです。チーズはご存知のように発酵食品。醤油や味噌など日本の発酵食品と好相性なので、発酵で合わせてメニューを構築するといいですよ」

銀鱈新和食⻄京焼きポルチーニ茸とペコリーノ・ロマーノ(PDO)風味

材料(4人分)

[銀鱈]
銀鱈 400g
塩 4g
乾燥ポルチーニ茸(ポーランド産 10g
(A)
アプリコットジャム(オーストリア産) 10g
⻄京味噌(つぶ) 80g
本みりん 20g
日本酒 10g
薄口醤油 4g

[マッシュポテト]
冷凍マッシュポテト(ベルギー産) 200g
イズニー発酵バター(PDO・フランス産) 80g
エキストラバージンオリーブオイル(スペイン産) 2g
生クリーム 20g
塩 2g
出汁醤油 1.6g

[仕上げ]
ペコリーノ・ロマーノ(PDO・イタリア産) 適量
アマランサス 適量
マジョラム 適量
ディル 適量

作り方

銀鱈

  1. 銀鱈に塩をふり、15 分ほどおく。
  2. (A)をボウルに入れて、混ぜる。
  3. 乾燥ポルチーニ茸を水(分量外)に戻し、 軽く絞ったもの、上澄みを2に入れる。
  4. 3に銀鱈を入れ、12 時間以上漬け込む。
  5. 漬け込んだ銀鱈とポルチーニ茸を金串に刺し、銀鱈は7〜10分、ポルチーニ茸は5分ほど炭火で焼く。

マッシュポテト

  1. マッシュポテトを解凍させ、細かく刻んだバター、生クリームと鍋に入れ、火にかける。
  2. 1にエキストラバージンオリーブオイル、塩、出汁醤油を加えて混ぜる。

仕上げ

  1. 皿にマッシュポテトをのせ、その上に焼いた銀鱈とポルチーニ茸をおく。
  2. ペコリーノ・ロマーノを削りながらふりかける。
  3. アマランサス、マジョラム、ディルを飾る。


「塩味がしっかりしてふくよかな味わいのペコリーノ・ロマーノを仕上げに使いました。このペコリーノ・ロマーノはPDO認定のもので、イタリア中央のローマ周辺で生産されたものです。塩をたくさん使わなくても、塩味が表現できるのもチーズの優れた点です。削って使うと風味が立ち、少量でも存在感を発揮してくれ、料理のいいアクセントになります」

【EU産チーズ2種使用】神戶牛新和食赤味噌漬け ザワークラウトの酢の物

材料(4人分)

[牛肉]
牛肉 200g
(A)
ダナブルー(PGI・デンマーク産 12g
ハチミツ(エストニア産) 30g
アップルコンポート(フランス産 20g
赤味噌(粗) 100g

[ザワークラウト]
ザワークラウト(ドイツ産) 30g
キュウリ 100g
ゆず果汁 適量

[仕上げ]
ダナブルー(PGI・デンマーク産) 適量
本みりん 25g
アイリッシュ・ウイスキー・チェダー(アイルランド産) 適量
タイム 適量
花穂じそ 適量
山椒 適量

作り方

牛肉

  1. (A)をボウルに入れて、混ぜる。
  2. 1に牛肉を入れ、30時間以上漬け込む(真空パックにするとよい)。
  3. 金串に刺して、炭火で 7〜10 分焼く。

ザワークラウト

  1. キュウリを輪切りにする。
  2. ボウルに1のキュウリ、ザワークラウト、ゆず果汁を入れて混ぜ合わせ、10分ほどなじませる。

仕上げ

  1. 皿にザワークラウト、焼いた牛肉、ダナブルー、アイリッシュ・ウイスキー・チェダー、タイム、花穂じそを盛りつける。
  2. 山椒をふる。


「近年、和食でも脂肪素材を活用するようになりました。この料理では、脂を含む牛肉を赤味噌などに漬け込んで、和食らしさを演出。仕上げに使うチーズは、牛肉の力強さに負けないパワフルなものを選びました。産地も製法も味わいも違うチーズを2種類使うことで、一皿の中で、多彩な味わいが表現できます」

Haruyuki Yamashita
1969年 兵庫県神戸市出身 大阪藝術大学藝術学部卒 WFP国連世界食料計画顧問。ひょうご食担当参与。
料理の見聞や技術、国境のない感覚を養うため世界各国で修業を積み、 素材の持ち味を最大に引き出す「新和食」を確立。そのパイオニアとして国内外にて活動中。その範囲はテレビ・雑誌等、各メディアと幅が広い。

text: Noriko Hane photo: Yusuke Onuma(event) sono bean(food)

パーフェクトマッチ公式サイト: http://www.foodmatcheu.jp/
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