一度は食べたい!イタリアの一流シェフが作るパスタ「ドン・アルフォンソ1890」(カンパーニャ州)


2018年11月にIGC(国際穀物理事会)が公表した2018-2019年の生産データによると、イタリアはヨーロッパにおけるデュラムセモリナの生産、及び輸出量第1位にある。世界のデュラムセモリナ生産量4,2百万トンのうち11%がイタリアで生産され、そしてパスタにおいては過去20年間に世界中のパスタ消費量は63%上昇し、現在は14,8百万トンに及ぶ。イタリアの生産と消費量はともに世界第1位だ。イタリアからは世界約200カ国に向けてパスタが輸出され、その中心はスパゲッティであるが、イタリア国内では地方ごとに異なった形状のパスタが存在し、手打ち麺を含めると、パスタの形状も名前も星の数ほどあると言われている。まさにパスタ国なのである。そんなイタリアの一流シェフたちはパスタをどのように捉えているのか。

Don Alfonso 1890Domenico ドン・アルフォンソ1890(カンパーニャ州)

ロングパスタにはシーフード、ショートパスタは野菜と肉のソースが最強の組み合わせ

Il Vesuvio di Rigatoni/リガトーニのベスビオ (euro 36)

1890年に創業し、現在ミシュランの二ツ星を持つオーナー家族の長アルフォンソ氏は、故グアルティエロ・マルケージとともにイタリア料理界の巨匠と称される。現在厨房は次男のエルネストに任せ、カプリ島が目の前に見える丘にある7ヘクタールの自社菜園でオリーブオイルやレモン、トマトなど、様々な野菜やフルーツの完全無農薬栽培に徹している。素材へのこだわりが自家菜園へと導き、益虫やそれを求めて飛び交う鳥など自然体系を地域に蘇らせた。自慢のトマトとレモンが収穫できなくなる冬季は店を休むほどの潔さである。

ドン・アルフォンソは、グラニャーノ産パスタのテスティモニアル(推薦人)を務めている。
グラニャーノ産パスタIGP(地理表示保護)はイタリア農林水産食料政策省によって栄養成分や水分量、香り、そして味について厳しい基準を設けている。ドン・アルフォンソの名を世界中に広めたのは、アルフォンソ氏が80年前半に考案したグラニャーノ産パスタを使った「リガトーニのべスビオ」。ベスビオス火山に見立てたパスタに溶岩をトマトソースで描き、ナポリの家庭料理を逸品に仕上げて世界中のグルメを惹きつけた。当時レストランでは手打ち麺が一般的で、乾麺がハイクラスのレストラン・メニューに入ったのは初めてだった。

シェフ エルネストにとって、「エレガントなパスタとは、小麦の味わいが感じられるように食材は最大4~5種類まで。パスタ料理の秘訣はバランス。ロングパスタに魚介類、ショートパスタには野菜や肉が黄金比」。しかも幼い頃祖母が作ってくれた、自家製トマトソースのパッケリにペコリーノチーズをかけたひと皿を超えるものはない、と言う。

Spaghetti aglio, olio e peperoncino con sgombro in carpione e cotto a bassa temperatura, pan grattato, pinoli, cipolla caramellata su emulsione di tonno alalunga/アリオ、オリオ、ペペロンチーノのスパゲッティの鯖のソース、低温で長時間調理した鯖のマリネ、トーストしたパン粉と松の実添え (euro 36)

Corso Sant’Agata 11/13, 80061 Sant’Agata
sui Due Golfi (NA)
TEL 081 8780026
※4月3日から11月3日までのみ営業
https://www.donalfonso.com


text 山田美知世
イタリア在住38年。イタリア共和国公認日本人初のオリーブオイル鑑定士。AIPO,Sol d’Oro、NYIOOC、JOOPの審査員。イタリアの出版社より「ARTE DI SUSHI」「RAMEN」「SAKE」など数々の本を出版。

本記事は雑誌料理王国2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2019年11月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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