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「すきやばし次郎」小野二郎さんに教わる「酢の使い方」


すしを握るうえで重要な役割を果たす酢。半世紀以上もすしを握り続け、酢を知り尽くしている小野二郎さんに、酢の知識や使い方などを3回にわたって伺います。

「シャリは人肌で。それと同じくらいに気を使うのが酢加減」そう言いきるのは、日本だけでなく世界からも注目されるすし職人「すきやばし次郎」の小野二郎さんだ。

吟味を重ねて行き着いたすし飯は、少し酸味が効いて、しょっぱさとまろやかさを合わせ持つもの。すし飯を人肌の温度にしたときに、もっともすしダネが活きると考えた味だ。

その理想に合わせるべく、銀座に店を構えた頃から使っているのがミツカンの「白菊」。米を主原料に醸造した米酢である。

「いろいろな酢で試してみましたけれどね、これがもっともしっかりした酸味があり、クセがなく、キレがよかったんです」と、二郎さん。繊細な魚の味を消さないように、酢が自己主張するような、強すぎる香りのものも避けたという。

すし酢には酢と塩のほか、少し砂糖を加える。こうすることで、すし飯にツヤが出るし、酸味と塩味の角が取れてまろやかな味が出せるのだ。羽釜で少し固めに炊いたごはんを飯台に取ってすし酢をかけ、手際よく大きなしゃもじでパッパッと切って全体に馴染ませ、お櫃に入れる。握るまでの間はさらに藁櫃で保温。この間に酢がひと粒ひと粒にからみ、固さもちょうどよくなるという計算である。

昔ながらの酢をよく効かせたすし飯と比べると、少々、薄味ではある。だが、「ちょっと酸っぱい」程度にまとめた二郎さんならではの味加減は、どんなすしダネとも合わせやすい。白身にも、光ものにも、穴子や卵焼き、そしてかんぴょう巻きにもしっくり馴染む。それが二郎流のすし飯の大きな魅力だ。

すし飯の作り方

1 ボウルに砂糖、塩を入れる。


2 日本酒、酢を入れ、砂糖と塩が溶けるまでよく混ぜ合わせ、すし酢を作る。


3 飯台に炊きたてのごはんを移し、上からすし酢を一気にかける。 ごはんにすし酢を行きわたらせ、ごはんの粒をつぶさないように、ごはんを起こしては切って平らにならす。これを繰り返し、うちわで扇いで冷ます。

管洋志―写真

本記事は雑誌料理王国第166号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第166号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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