普段はなかなか見ることができないシェフ達の手元がしっかり映っていて分かりやすく、プロにもアマチュアにも支持されているYouTubeチャンネル「料理王国」。23年4月号では、東西のフレンチシェフの技術を収録。ぜひ、本誌やWEB記事と併せて動画もご覧ください。
愛らしい鯉のぼりに兜、美しい花菖蒲。五月の節句を表現するこれらは、なんとイカを中心に、マグロやキュウリ、おぼろなどでできた寿司。「細工寿司」と呼ばれ、江戸前寿司の仕込みをする中で出た魚の端材を用い、明治期から昭和にかけて誕生したとされる技術だ。さっと握る江戸前寿司とは異なり、一貫を作るのに手間暇がかかるため、近年は手がける職人が減少。そうしたなか、様々な細工寿司を作り、講演活動や教室、書籍などでその魅力と技術を伝えるのが、滋賀・大津市瀬田で創業52年を誇る『丸萬』の青山修治さん。細工寿司の第一人者だ。「寿司は魚の〝旬〞があるけれど、一年中同じ(定番の)ネタで勝負する季節感がない食べ物。そのため、季節感を出すのがこの細工寿司です。春夏秋冬はもちろん、花鳥風月や節句、行事を表現します」
手毬寿司が基本となる「細工寿司」で肝心なのは、土台となるシャリを丸めたり締めたりする加減。そしてネタは「真っ白なキャンバスと同じ。成形もしやすい」という紋甲イカを主に使用。サヨリの模様を利用したり、イカの下に桜でんぶを敷いて透けさせ、ほんのりピンク色にするなど、精巧な造形の裏側に様々な工夫が隠されている。今回、作ってもらった3点はどれも初心者向け、ひと口で食べられるのが魅力だ。その技術、動画をご覧あれ。
滋賀県大津市大江3丁目21-9
TEL077-545-1427
11:00~21:00
火休
http://www.seta-maruman.com
text: Ryoko Sato, photo: Shohee Murakawa