欧米諸国では国をあげた食のインキュベーション施設が次々と誕生しているが、日本はこの分野において大きく差をつけられている。料理王国12月号のフードテック特集で取り上げたように、 2021年は日本にも、JR東日本の「新大久保フードラボ」など複数のインキュベーション施設がオープンする。その先陣を切るのが、 2021年1月4日、虎ノ門ヒルズにできるフードインキュベーション施設「Social Kitchen TORANOMON」だ。
この施設は、最新厨房機器がそろう、60坪超のキッチンを備える。ディレクターシェフの薬師神陸氏や、ディレクターパティシエの江藤英樹氏をはじめ、注目の若手シェフたちがパートナーを務め、ここを介して様々な企画や開発に携わる。シェフたちが集い、企業や社会と繋がり、これから食の新たな価値を創造していくに違いない。
Social Kitchen
TORANOMON
東京都港区虎ノ門1-23-3
虎ノ門ヒルズガーデンハウス1F TEL 03-6811-2966
9:30~23:00(日・隔週月休み)
2021年3月、バウムクーヘンのユーハイムが、名古屋に食の複合施設「バウムハウス」をオープンする。その1階に導入される、バウムクーヘン焼成専用AIロボット「THEO(テオ)」の全貌が明らかとなり、注目を集めている。
THEOには同社で40年以上働く職人の技をデータ化して覚え込ませた。そして納得のいくものが焼けるまで、焼成温度や芯の回転速度などの調整、レシピ改良を重ねた。焼き色の判定には画像認識システムを利用。毎回同じ色に焼くのは人では至難の業だが、THEOなら実現できる。
ユーハイム
https://www.juchheim.co.jp/
「teploティーポット」は、茶葉の魅力を最大限に引き出す淹れ方をデータベースから選択でき、また飲む人の体調や気分に合わせたお茶を淹れることができるスマートティーポット。2020年8月に発売し、現在は主に家庭やオフィス、ホテルなどで使われている。そんなteploがこれから美食の世界へ進出するかもしれない。
teploを開発したLOAD&ROAD社の代表取締役の河野辺和典氏は「レストランは忙しく、ゆっくりお茶を淹れる時間も惜しい。 teploがあれば、少ない負担でクオリティの高いお茶を提供できます」と話す。それを実証する意味でも同社は、コース料理とteploで淹れたお茶のペアリングを提供するイベント「teplo premium restaurant」を定期的に開いている。その実力を確かめるべく、資生堂とタッグを組み横浜の「S/PARK Cafe」で開催された第2回目に筆者も参加した。
ティーペアリングを担当したのは、ソムリエの塚越慎之介氏。teploで淹れたお茶は個性豊かで、食材と同調、さらに食感や風味を向上させる、見事なペアリング。teploがレストランで活躍する未来が容易に想像できた。
「teplo premium restaurant」第2回目は資生堂とタッグを組んだ。料理は「S/PARK Cafe」店長の浅野雄哉氏が担当。ティーペアリングを担当した塚越慎之介氏は、阿佐ヶ谷の「La Maison Courtine」や代々木上原の「sio」といった有名店で修業を積んだ新進気鋭のソムリエだ。
本記事は雑誌料理王国2021年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2021年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。