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世界各国から届いた話題のグルメ情報 ~バンコク編~


世界No.1シェフの新店がタイ進出「Côte by Mauro Colagreco」

全世界を襲ったCOVID-19の影響で、タイの年間GDPは8%下落すると予測されている。特に観光業への打撃は大きく、回復への見通しは不透明だ。しかし、コロナ禍でもホテルの新規開業は相次いでおり、10月には新たに3軒の高級ホテルがオープン。2018年米朝首脳会談の舞台となったカペラ・シンガポール系列の「カペラ・バンコク」もタイ初上陸した。

このホテルの目玉が、フランスの「ミラズール」率いるマウロ・コラグレコ氏の新店「Côte by Mauro Colagreco」。

マウロ氏自身、アジアの中でもバンコクに強い関心があり、その食文化や自然、バンコクを縦断するチャオプラヤー川にまつわる歴史に魅せられていたことから、リヴィエラとバンコク、2つの地にインスピレーションを得た “Riviera to the River”というコンセプトを考案。「ミラズール」で5年働きマウロ氏の右腕だったダビデ・ガラヴァグリア氏が「Côte」のシェフに就任した。

「タイの文化と人々の嗜好についてマウロと議論を重ねた結果、リグーリア州と南仏の古い伝統的なレシピに焦点を絞り、その魂を保ちながら現代的な手法でメニューを提案することにしました」(ダビデ氏)。

「Côte」のメニューでは、リヴィエラ伝統料理にダビデ氏が惚れ込んだカフィアライム、レモングラス、生姜などの食材や、クロック(石臼)を用いたソース作りのテクニックといったタイの食文化も織り交ぜた。

かつて、タイと欧州との交易拠点であったチャオプラヤー川を一望する場所で「ミラズール」の遺伝子がどのような食の未来を描くのか、楽しみでならない。

「Côte by Mauro Colagreco」のシェフに就任したダビデ・ガラヴァグリア氏

タイ最大級の音楽フェスから派生した2日間の美食イベント

2014年のスタート以来、国内外から2万人もの観客を動員していたタイ最大級の野外音楽イベント「Wonderfruit Festival」。フードエリアでは「Gaggan」「Gaa」などタイの有名レストランが提供するスペシャルディナーも毎回話題を集めていた。

2020年の開催は、COVID-19流行の影響で延期されたものの、同イベントのフード担当チームが主体となり、食とサステナビリティがテーマのフェス「Fruitfull」を企画。 11月7・8日に開催された。

会場となったのは、タイを代表するシルクブランド「ジム・トンプソン」の創業者が暮らした邸宅。普段は博物館になっている建物で、約300年前の伝統工芸品であるベンジャロン焼きやライナムトン(金彩)焼き、東南アジアの古美術などの貴重なコレクションが展示されている。その歴史的建造物の中で、ミシュラン一つ星の「Le Du」「Jay Fai」「Bo.lan」による20人限定のシェフズテーブルや、有名シェフによるハンズオンセミナーなどが行われた。

また、敷地内では二つ星「Sorn」のカノムジーン(タイ風カレー素麺)バーなど、ファインダイニングによるポップアップ屋台も出現。シェフが店を飛び出し、ストリートフードの流儀に沿って新たな引き出しを披露した。フードブースでの食器にはバナナの葉などリサイクル可能な素材を使用し、チャージ機能付きリストバンドでのキャッシュレス決済など環境やCOVID-19感染防止への配慮も万全。 withコロナ時代の先進的なフードイベントの姿を示していた。

普段は飲食はおろか内部の撮影さえ許されない「ジム・トンプソンの家」のダイニングルームで、2日間限りの豪華なシェフズテーブルが行われた。

宮崎麻実
2019年よりバンコク在住のエディター兼ビデオグラファー。写真と動画でバンコクの最新トレンドを伝えるビジュアルシティガイド「dii bangkok」をスタート。



本記事は雑誌料理王国2021年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2021年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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