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【ジビエの名店の逸品】「オテル・ド・ヨシノ」手島純也さん(雷鳥)


クラシックなアプローチを得意とする手島純也さんならではのひと皿。雷鳥には、独特の香りと苦味があり、その個性を生かしつつ、いかに食べやすくするか、そのバランスが巧みに取れている。

胸肉は、ソースで温めるようにポシェし、ロゼの一歩手前までの火入れにとどめたしっとりとした仕上がり。その反面、モモ肉はシンプルな炭火焼きにし、個性をストレートに味わってもらう。いろいろなジビエと豚肉のミンチに雷鳥の内臓を加え、ハンバーグ状にしたカイエットは、旨味や苦味が交差する複雑な味わい。ソテーしたフォワグラを重ねることで、雷鳥のクセを緩和しつつ、血を加えたソースで本来の香りも表現している。ひと皿の中で、いろいろな表情の雷鳥を丸ごと味わえる。

「古典をしっかりと理解して調理すれば、料理が鈍重になることも、古臭く感じることもない」と言う手島さんの考えが色濃く反映されている。

スコットランド産 雷鳥
胸肉のサルミ仕立て
腿肉の炭火焼き 内臓のカイエット添え

ソースで胸肉をポシェする際には、角切りにしたフォワグラを加え、ソースに溶
かし込んでいる。さまざまな洋酒やブイヨンが加わり、重層的な味わいに。

[Point ] 血が醸すソースの香り

骨を短時間煮出したジュに、アルマニャックなどの洋酒、ジビエのブイヨンやコンソメなどを加え、ソースの下地とする。そこで胸肉を温めた後に、ソースの仕上げとして雷鳥の血液を加えて、独特の風味を生かす。

雷鳥/ラゴペード・デコス

希少性の高い野鳥のひとつ。ヨーロッパでは、アルプスやスコットランド、アイスランドなどの寒い地方に生息する。山岳地帯が雪深くなると狩猟が困難になるため、素材が出回るのは9月上旬から12月中旬までと、ジビエの中では比較的早い。肉は淡い赤身で、独特の香りと苦味のある味わいが特徴。体長は40㎝ほどで、肉質はしっかりとした弾力がある。同店では、スコットランド産の雷鳥を使用する。

店で使用するジビエ食材

● エゾ鹿(北海道産)
● 大和鹿(和歌山県産)
● 山ウズラ(フランス産)
● 山シギ(スコットランド産) など

オテル・ド・ヨシノ 手島 純也さん
1975年山梨県生まれ。地元レストランで修業後、26歳で渡仏。「ステラマリス」にて、𠮷野建氏に師事する。07年に帰国し、同店の料理長に就任。

hôtel de yoshino
オテル・ド・ヨシノ
和歌山県和歌山市手平2-1-2 和歌山ビッグ愛12F
☎073-422-0001 
●11:30~14:00LO、17:30~21:00LO
●月、第2火休 ※月が祝日の場合は翌火休
●www.hoteldeyoshino.com
●昼3150円、5250円、8400円、夜6300円、10500円、15750円

本記事は雑誌料理王国210号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は210号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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