加熱せずに食べられるサラダ用など、 様々な種類が登場していルケールだが、青汁などに使われているものは原種に近い「ポルトガル種(ポルトガルキャベツ)」で、アブラナ科の雑草が野菜に昇格したもの。 キャベツ同様に、ヨーロッパをはじめ世界中で親しまれてきた。 世界各国の郷土料理を、 引き続き荻野さんに伺う。
30年以上世界の食文化の研究を続ける荻野さんは、訪れた国々での素朴なケールづかいに注目してきた。「青汁のイメージばかりが定着していますが、実は万能野菜なんです。煮込んだり焼いたりしても、食感が変わらず煮崩れしにくく、水分も出にくい。油と相性が良く、炒め物や揚げ物にすると、香ばしく濃厚な味わいが引き立つ。色もあまり変わらないですし、本当に美味しい野菜です」 一番多く出合ったのは、揚げて肉の付け合わせにしたもの( P106下)。その美味しさに、これは何の野菜だろうと、当初は驚いたそうだ。
ポルトガルケールは葉が肉厚で軸も太く野性味があり、生でかじると独特の苦味がある。繊維を断つように切り、下茹ですることで、苦味も筋も感じなくなり、実に食べやすくなる。
日本人は食感にこだわりが強く、筋を気にする人も多いので、この一手間は大きい。ただ、豊富に含まれるビタミンCは加熱すると流出するため、小さめの葉や若葉の場合には生で使うなど臨機応変で。「軸の部分も熱を加えるとホクホク。ブロッコリーの芯を想像してもらうと良いかもしれませんね」。
【地域】イタリア、スペイン、ブラジル
ヨーロッパ他、南半球の家庭で日常的に食べられている素朴な青菜炒め。ベーコンの代わりにアンチョビーを使うことも多い。葉が肉厚で苦味があることと、軸が硬いため、茹でてから炒めるくらいでちょうど歯応えよく食べられる。唐辛子を加えても。
材料(2人分)
ケール(150gのものを使用)……2枚
にんにく(みじん切り)……1かけ
ベーコン(細切り)……50g
オリーブ油(その他植物油)……大さじ1
塩、こしょう……各少々
作り方
【地域】 スペイン、イタリア
ヨーロッパの人々は野菜の硬い軸を工夫して食べるのが上手い。これは、ケールの軸とサーディンを葉で巻いて、丸ごとフライにするユニークな食べ方。もちろん、生ハムやチーズでもいい。ホクホクと味わい深く、新しい感覚のフライが楽しめる。
材料(6個分)
ケール(150gのものを使用)……1枚
オイルサーディン……6枚
小麦粉……適量
溶き卵……1個分
パン粉(硬くなったパンをすりおろしても良い)……適量
揚げ油……適量
レモン(くし形に切る)……適宜
岩塩……適宜
作り方
edit&text 𠮷田佳代、 photo 公文美和、 料理監修 荻野恭子
本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。