【ラ・ブランシュ】日本人として愛すべき食材をよりおいしく


理想の味わい、食感を求めて試行錯誤を重ねた技術

一皿目の料理は、渥美半島で今年90歳になる生産者が作っているというキャベツを使った「平目のポワレキャベツソース」。田代さんが初めてこのキャベツを食べた時の感動をもとに、この食材を最大限おいしく味わうために考え出した料理だ。キャベツソースのベースとなるのは鶏のジュと野菜たっぷりの魚のフュメ。これを合わせたものにエシャロット、少量のニンニク、バター、サフランを加えて、20〜30分ゆっくり煮て、繊細な味わいのベースを作り上げる。ここにキャベツのピュレを加えることで、キャベツの風味が十分に活かされたソースができ上がる。

「平目のポワレキャベツソース」のキャベツの下処理。
主役のキャベツは芯と一緒に茹でてから、氷水に取って急冷することで旨味を引き出し、再び温めて盛り付ける。キャベツソースも風味をしっかりと出すために細やかに仕上げる。

ヒラメは下味に塩と、コショウの代わりにカイエンペッパーをふる。肉に比べて食感が優しい魚には、コショウよりも最初に辛みがグッと感じられ、そのあとスーッと引いていくカイエンペッパーのほうが相性が良いという。さらに、小麦粉をふり、片面にすりおろしたジャガイモを塗ってフライパンで焼く。これは、「魚の表面をカリカリに仕上げたい」という田代さんのこだわりから生まれた技術。何度やっても理想の「カリカリ」を実現できず、試行錯誤を重ねた末に思いついた。ジャガイモを塗った面で7割、裏面で残りの火を入れることで心地よい食感を実現し、お客さまが食べ終わるまでその食感を維持することができる。ヒラメにのせるキャベツは、芯と一緒に茹でてから氷水で急冷することでしっかりとおいしさを引き出し、再び温めて盛り付ける。ヒラメが隠れてしまうほどたっぷりと盛り付けられたキャベツの力強い味わいが、カリカリに焼き上げたヒラメとマッチした一品だ。

LaBlanche ラ・ブランシュ 田代和久さんが、ヒラメにジャガイモのすりおろしを調理している。
ヒラメの下味にはカイエンペッパー。すりおろしたジャガイモを塗って焼くことで、理想のカリカリ食感を実現。ジャガイモの水分を吸収するために、ヒラメに小麦粉をふるのも大切なポイント。
LaBlanche ラ・ブランシュ 田代和久さん 平目のポワレ キャベツソースの一皿。

平目のポワレ キャベツソース
田代さんが初めて食べた時に感動したという渥美半島のキャベツを使った一皿。キャベツソースで食べるキャベツは優しくも力強い味わい。ヒラメが旨味と食感のアクセントを与える。

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