フランス人が集うことで知られる「ブション」のお客は、2割以上がフランス人、1割がその他の欧米人。その風景は、今や京都名物のひとつだ。オーナーシェフの松井知之さんがフランス料理に魅せられたのは、小学6年生のとき。大学時代にはアルバイトで貯めた資金を手にフランスへ渡り、すべての三ツ星レストランを訪れたという。
テーマは「本物を手ごろな価格で提供する」。料理やワインはもちろん、食後酒、チーズ、シガーまでフランスらしいラインナップにこだわる。
85年に、レストラン「ベルクール」で独立し、「フランスで普通にあるものは全部やる」と決めて開いたのが「ブション」なのだ。当時はステーキとポテトフライという典型的なフランスの昼食を「こんなものフランス料理じゃない」と言われた。それでも「これがフランスだ」とばかりに胸を張って歩いてきた成果は、松井さんに影響を受けたシェフの多さが雄弁に物語っている。
12 年10月より「ベルクール」を信頼できるシェフに任せて、自身は支店の「オ・タン・ペルデュ」とこちらへ異動。それ以降「ブション」でも、レストラン並みの料理を少しずつ増やしてきた。フランス産のホワイトアスパラを使うなど、頑ななまでのこだわりは、これからも唯一無二の光を放ち続けるに違いない。
豚足に豚ミンチと牛の煮込みを混ぜた詰め物。タマネギとポルト酒の濃厚なソースを絡めて、思い切りかみしめると肉の旨味が怒涛のように押し寄せる。迫力たっぷりの一品だ。
材料(6人分)
豚足…3本/豚足のゆで汁…適量/牛肉の煮込みのほぐし身と煮汁…適量/豚ミンチ…200ℊ/豚の網脂…適量/フォワグラ…100ℊ/塩、コショウ…適量/タマネギ…1.5個/白ワイン…75㏄/ポルト酒…30㏄/バター…20ℊ
◦パイアソン(1人分)
ジャガイモ…1/2個/バター…適量
作り方
1.豚足をゆで、骨をとる。皮のきれいな面3×4㎝を6枚取り置き、残りを1 ㎝角に切る。同量の牛肉煮込み、豚ミンチ、塩、コショウと合わせて団子にする。
2.網脂に1の皮を開いて敷き、1のファルシを1/6ずつのせて包む。
3.スライスしたタマネギを茶色になるまで炒めて鍋に敷く。2をのせて、1のゆで汁、牛肉の煮汁、白ワインを加える。200℃のオーブンで、表面の網脂が色付くまで30分ほど焼き煮する。
4.3の煮汁を漉したものを煮詰めて、ポルト酒を加える。バターでモンテしてソースにする。
5.パイアソンを作る。ジャガイモはせん切りにしてセルクル型に詰め、バターで両面を焼く。
6.仕上げと盛り付けをする。3の上にフォワグラをのせて軽く温め直す。皿の中央に5のパイアソンを置き、その上に3の豚足を重ね、上から4のソースをかける。
1959年京都市生まれ。大学卒業後、神戸の名店「ジャンムーラン」でアルバイトを経験、東京のフランス料理店で2年間勤務。85年「ベルクール」、95年「ブション」、05年トレトゥールとサロン ド テ「オ・タン・ペルデュ」を開店。
ブション
Le Bouchon
京都市中京区寺町通二条
榎木町71-1
☎075-211-5220
● 11:30~14:30、17:30~21:30
●木休
● 昼1240円~ 夜のコース2880円~
http://bellecour.co.jp/
藤田アキ=取材、文 中西一朗=撮影
本記事は雑誌料理王国239号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は239号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。