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ピッツェリアの火付け役は、料理にナポリのマンマの愛情を込める パルテノペ広尾店 渡辺陽一さん

パルテノペ広尾店 パスタと白インゲン豆のスープ煮田舎風 (パスタ・エ・ファジョーリ)

パルテノペ広尾店 渡辺陽一さん
Yoichi Watanabe
1961年、愛知県生まれ。フレッシュフードサービス店舗営業部長総料理長。ピッツァ発祥の地ナポリを中心に南イタリアで10年間、イタリア料理の研究と修業を積む。 2000年より「真のナポリピッツァ協会」認定の看板を掲げるピッツェリア「パルテノペ」を東京・広尾と恵比寿、品川にオープン。人気店であり続ける。

洒落た街並みが続き、世界各国の大使館が点在する東京・広尾。ピッツェリア「パルテノペ広尾店」は2000年、この街でオープンした。
以来15年、人気店であり続ける秘密は、ナポリピッツァとナポリ料理を愛する料理人渡辺陽一さんの熱い想いにほかならない。渡辺さんは、現在のピッツェリアブームの火付け役でもあった。

人気店の根底を支えるのは庶民感覚

そもそも日本ではアメリカ経由で入ってきたピザは知られていたが、ナポリピッツァは、まだ市民権を得ていなかった。

「ナポリっ子にとってピッツァは、カンツォーネ(歌)のようなもの。歌を聞くと人は、その時々を過ごした場所や一緒にいた恋人を思い出しますね」と渡辺さんは言う。なるほど、ピッツェリアは、その舞台の役割を果たすのだ。そこで味わうピッツァも料理も、店そのものにも"ナポリの風"が、心地よく吹き抜けていなければならない。渡辺さんの立ち上げた広尾店は、そんなナポリのピッツェリアであり続けている。

パルテノペ (チェリートマト、水牛のモッツァレッラの特製ピッツァ)
パルテノペ
トマトソースをベースにしたピッッアの中でも店名を冠したこの特製ピッツァは、10年間ナポリで本場のピッツァを食べ歩いた渡辺さんの熱意が結集された極上の一枚。

このため、まずは1984年にナポリのピッツァ職人たちが設立した「真のナポリピッツァ協会」の日本支部を立ち上げ、「真のナポリピッツァ」の普及に努めた。材料は小麦粉、酵母、塩、水のみを使い、生地は手だけを使って伸ばす。400度以上の薪窯で一気にしっかりと焼く。この間1分30秒。モチモチとした生地の食感を残しながらも、香ばしさは格別。まず、イタリア人が「これだ!」と叫んで店の常連となり、本場のピッツァは、たちまち評判を呼んだのだ。

「パルテノペ」と店の名前を冠した特製ピッツァは、ベースのトマトソースに、チェリートマトと水牛のモッツァレッラを合わせている。「チェリートマトのフルーティーな味わいに合うのは、何といっても水牛のモッツァレッラですね」。水牛だと値段は張るが、ここは譲らない。

明石産溺れだこのトマト煮 ナポリ風
明石産溺れだこのトマト煮 ナポリ風
タコの風味がしっかりと残っていて、特製のトマトソースを引き立て、さらに旨味が増す。イタリア人も唸らせる評判のナポリ料理である。

日本各地を走り、これぞと思う食材を探し当てる。例えば、明石産のタコ。気に入ったが値段が高い。現地の漁師と直談判し、不揃いのものを手に入れる。こうするのは、「納得のいく新鮮な食材を使いながらも、お客さまに提供する価格については、庶民感覚を大切にしたい」からだ。

看板料理の「パスタと白インゲン豆のスープ煮田舎風」をはじめ、50種類のメニューには、ナポリのマンマの愛と伝統が宿っている。職人の技と庶民感覚、そして”ナポリの風”を大切にする渡辺さんのポリシーが人気店の根底を支えているのだ。

ナポリの家庭の優しい味

パルテノペ広尾店 パスタと白インゲン豆のスープ煮田舎風 (パスタ・エ・ファジョーリ)
パスタと白インゲン豆のスープ煮田舎風 (パスタ・エ・ファジョーリ)
ナポリの家庭の味を再現した看板料理。ふっくらと煮た白インゲンと、わずかずつ残ったいろいろな種類のパスタをスープ煮にしたひと皿は、じつに優しい味。トマトとバジルとニンニクの風味が食欲をそそる。
パルテノペ広尾店
ふっくらと煮た白インゲン豆とミックスパスタは、チェリートマト、バジルを加えたスープの中で煮る。スープが煮つまるようなら途中で湯を加える。
ミックスパスタを使うが、ナポリでは、使い残したパスタを入れる。パスタはアルデンテに仕上げるのがコツ。それぞれのパスタの異なる食感が楽しめる。
パルテノペ広尾店 渡辺陽一さん

パルテノペ 広尾店
Pizzeria Partenope
東京都港区南麻布5-15-25 広尾六幸館1F
03-5798-3355
● 11:30~14:00LO(平日)
12:00~14:30LO(土日祝)
18:00~22:00LO
● 無休
● アラカルト324円(税込)~
● 38席
www.partenope.jp/shop/hiroo.html/


長瀬広子=取材、文 村川荘兵衛=撮影
text by Hiroko Nagase photos by Shohee Murakawa


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