広がりをみせるプラントベースミルクを、もはや単なる飲み物として扱うだけではもったいない!
シェフの井口和哉さん、森枝幹さんに様々な市販のプラントベースミルクを試してもらい、新たな活用法や可能性を探った。
“牛乳の代替”ではなく特徴を活かした使い方を
──お二人は、プラントベースミルクをお店でどのように使っていますか?
井口和哉さん(以下井口、敬称略)
うちではアーモンドミルクやオーツミルクを、カフェラテのバリエーションとしてエスプレッソに合わせています。あとはデザートを中心に、ヴィーガンの方に向けた料理にプラントベースミルクを使うことがあります。
森枝幹さん(以下森枝、敬称略)
うちの場合、使っているのはココナッツミルクだけですね。「Salmon&Trout」にいた頃は、動物性のミルクだと重くて素材が引き立たないと感じる時に、プラントベースミルクで置き換えることがありました。
──では、さっそく試飲していきましょう。まずはアーモンドミルクから。
森枝 「イソラビオ オーガニックアーモンドミルク」は、昔の豆乳みたいな味がする。思いのほかさらっとしています。
井口 さらっとしているからこそ、舌の上に若干、粒のざらつきが残る気がします。一度ハンドミキサーで撹拌したら、なめらかになりそう。「ブリッジ アーモンドドリンク」は嫌味がなく、普通においしい。
森枝 「137ディグリーズ アーモンドミルク」もいいですね。飲み物として見たら、完全にこれかな。
井口 うん、飲み物としての完成度が高い。頭の中にアーモンドの姿がポンと浮かび上がります。
森枝 そう、アーモンドの味わいがくっきりときれいに感じられるよね。
「無添加 濃いアーモンドミルク」は名前の通り濃くて、他のものとはココナッツミルクとココナッツクリームくらいに濃度が違う。実際にココナッツクリームみたいに、濃度を調整したい時に使えそうです。
井口 他のアーモンドミルクが濃い味のものを伸ばす用途だとすれば、これは薄い味のものを濃くするという方向の使い方になりそう。
森枝 それこそゴマペーストみたいに、個体をすりつぶしたような感覚で、和え物に活用したらおいしいかも。からしと一緒にほうれん草と和えるとか、白和えっぽくするとか。アスパラやタケノコ、春菊のようなフレッシュ感のある野菜にも間違いなく合う。あと、カニなどの甲殻類といっしょに食べても良さそう。春菊の白和えにカニをのせたら絶対においしい。
井口 こういう味わいは、生のアーモンド特有の風味を表現しやすいですね。「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」に勤めていた時のシェフが、フレッシュなアーモンドを水といっしょにミキサーでペーストにして、オマールエビのスープ仕立てにしていたのが印象に残っています。そんな使い方の延長線上でレシピを考えたら、可能性が広がりそうです。
森枝 逆に「137ディグリーズ~」は飲み物としての完成度が高いので、料理よりもカクテルなどに使うのが向いていそう。
井口 アーモンドミルクで料理に使うなら、やはり「無添加 濃い~」が一番ですかね。牛乳の代わりに使うのとは違い、濃い味わいを加えるという方向性での使い方ですが。