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若きシェフが作る珠玉のパスタ④学芸大学「リ・カーリカ」

トマトソース

100人いれば100通り 多様性の中で見つけたもの

トマトソースに並々ならぬ思い入れがある、堤亮輔さん。それもそのはず。堤さんのイタリア料理の扉を開いたきっかけが「トマトソース」だったからだ。

「あるイタリア料理店で食べた、トマ トソースのパスタのおいしさが衝撃的で」その後、学生時代にその店でバイトを開始したが、ほどなく大学を辞め、 イタリアへ。たまたまトスカーナ州で 修業を開始したが、トスカーナ州はご存じのとおり、イタリアの中でもトマトソースに関してはうるさい街。

堤さんにとっては、結果的に大当たりとなった。現地では日々トマトソースを食べ、パスタを食べ、そして、生パスタを学んだ。今回のピチもそのひとつ。「ピチは店によって全然違う。生地も粉もいろいろ。表面の質感もなめらかだったり、ざらっとしていたり。

食感もコシがあるものからふにゃふにゃなものまで。要は家庭料理の側面が あって、みんな自分の哲学で作っている。それがおもしろくて」100人いれば100通りのピチができる。それだけに、堤さんは、自分のピチは何か考えるようになった。

「僕はかなり濃厚なトマトソースが好きなので、あえてコシを作らないように仕上げて、食べた時の麺とソースの一体感を重視。生地を転がしすぎるとコシが出るので、生地はさっとのばして、 秒以内でまとめる。そこは技術として徹底的に心がけています」

大事なのはお客さんの「満足感」 鍵を握る「締めパスタ」の魅力

普段、店ではトマト水煮缶を使用 してピチアリオーネを提供しているが、 今回はよりトマトにフォーカスし、三浦半島産のトマトを時間ロースト して甘味と旨味を凝縮させ、ブラッ シュアップ。「ポイントは、トマトと麺を均一に混ぜすぎないこと。食べる場所によって味が違ったほうが、シンプルなパスタは最後まで飽きずに食べられる」

かくしてでき上がったのが、ご本人いわく「伊勢うどんのような、博多うどんのような」やわらかで心が和 む独特の食感のピチアリオーネ。たらふくつまみ、ワインをさんざん飲んだあとでもするりと入る、オステリアらしい「締めパスタ」だ。「大事なのはお客さまに満足しても らうこと。締めに麺というスタイルは 日本人的な満足感が得られます。

お客さまから、『ここのパスタが食べた くなるんだよね』という言葉をもらえたらうれしい」最後に「実はパスタ専門店をやり たいんです」と打ち明けてくれた堤さん。リ・カーリカの号店は、麺好きによる麺好きが満足できるパスタ 専門店、かもしれない。

Ryousuke Tsutsumi

1978年熊本県生まれ、東京都育ち。トスカー ナで修業した他、フレンチや和食も経験す る。数々の店で修業を重ね、駒沢大学 「 トゥーセ イグランデ 」を経 て 、 2013年「 リ・カーリカ」オープン。現在は「カンティーナ カーリカ・リ」「あつあつリ・カーリカ」を 加えた3店舗を展開する。

リ・カーリカ

Ri.carica

東京都目黒区鷹番2-16-14 J&Wビル B1F

☎03-6303-3297

● 18:00~24:00LO(平日・土・祝前) 17:00~24:00LO(日・月祝)

月祝以外の祝日は18時オープン
● 不定休
● 24席 www.facebook.com/osteriabar.ricarica/

浅井直子=取材、文 sono(bean)=撮影

本記事は雑誌料理王国第288号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第288号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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