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【ソルトコーディネーターコラム】知っているようで知らない塩の話 Vol.1塩の種類


 ちょうどよい塩加減のことを「いい塩梅」ということからもわかるように、塩は料理の味を決めるには欠かせない調味料であり、塩加減は調味の基本とも言えます。しかしながら、専売制度の影響で生産・流通する塩が限られていた時代が長かったため、専売制度が解禁となった今でも意外と塩について知らない方が多いのが現状です。今や、日本に流通する塩は国内外合わせて約4000種類とも言われています。バラエティ豊かになった今だからこそ、ほかの食材や調味料のように適切な知識を持って選んで使ってもらいたい。そうすることで料理がもっと美味しくなったり、食卓が華やかになったりすると思い、このコラムを書かせてもらうことにしました。

第1回目となる今回は、「塩の種類について」ご紹介します。
本的には塩は原料別に下記のように分類されます。

海水塩・・・海水をなんらかの方法で濃縮・結晶させた塩。海藻のエキスが入った藻塩も海水塩の一種。主に世界各地の沿岸部で生産されている
岩塩・・・地中で結晶した塩の鉱山から採掘したもの。パキスタンのピンク岩塩など
湖塩・・・塩分濃度5%以上の塩水で構成された湖から採れる塩。イスラエルの死海など
地下塩水塩・・・食塩泉など、塩分を含んだ地下水からできる塩
再製加工塩・・・塩を原料ににがりを添加するなどして再度加工したもの。伯方の塩など原料となる塩は主にメキシコ・オーストラリアの天日塩が多い
調味塩・・・塩にハーブやスパイスをブレンドしたり、染みこませる等して味をつけたもの

日本には岩塩が取れる鉱山や塩の湖がないため、ほぼすべての塩は原料が海水で、それを煮詰めて生産することがほとんどです。詳しくは次回以降に書き記しますが、釜でグツグツと煮詰めて結晶させると塩の結晶が大きく育たず小さくなるため、大粒にはなりません。そのため、日本人の頭の中では「塩=粒の小さいもの」というイメージが浸透しています。

一方で岩塩は、広大な塩の鉱山を爆薬で破砕してから粉砕したものなので、大きさは自由自由自在。挽き立てを演出するために直径5~6mmに粉砕した結晶をミルに入れて製品化したものも多く、そこから「粒が大きい塩=岩塩」というイメージが浸透していき、日本では「粒が大きい塩=岩塩」という誤った認識となったものと考えられます。

しかし海水塩も天日塩田で長期間かけて結晶させると巨大な結晶を形成しますし、岩塩も粉砕の仕方によってはパウダー状にもなります。一概に、粒の大きさでは塩の種類を判別することはできないのです。ぜひ一度、ご使用されている塩のパッケージを確認してみてください。


文・写真=青山志穂

東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)など。
https://shiho-aoyama.com/


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