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【シェフが学んだ本場のパスタ】「クリマ ディ トスカーナ」佐藤真一さん


地域別、シェフが学んだパスタ 「中部・トスカーナ」

口の中でとろけるような優しい食感と、ストレートに小麦の香りと旨味が感じられるパスタ。これが「クリマ ディ トスカーナ」の佐藤真一さんが目指す、トスカーナのパスタだ。トスカーナは軟質小麦が採れる地域。「小麦粉、水、卵というパスタを構成する材料の品質は、本場と日本では異なるため、決してトスカーナで食べるものと同じにはならない。しかし、ここで食べられる最善のトスカー
ナ料理を提供しています。

トスカーナやエミリア―ロマーニャなどのパスタは、グルテンを出さないように練るのがクラシックスタイル。「パスタフレスカ店(生パスタ専門店)で修業したとき、グルテンを出すと怒られた」というエピソードがあるほどだ。佐藤さんは常日頃から、自身の経験以外にも歴史文献を読むなどして、トスカーナの食文化について知る努力を惜しまない。そうすることで、〝トスカーナ風〟の創作料理にならないよう、気を遣っているのだという。

「ムジェッロ風カペレッティ」は、トスカーナの地域性が色濃く出る料理。ムジェッロはフィレンツェの山にある集落で、ジビエやサルシッチャ、キノコをソースに使用する。なかでも春は仔鹿や仔ウサギ、夏はサマーポルチーニなど、ソースの具材で季節感を出すのが特徴だ。カペレッティの詰め物には、ジャガイモ、生クリーム、エシャロット、グラナ・パダーノを合わせたものを使用。舌触りやソースとの相性を考慮して、中身を変えるという。

今回は、トスカーナのハーブであるネピテッラとニンニクでサマーポルチーニを炒め、カペレッティと合わせた。使用する野菜やハーブなどは、千葉の「エコファーム・アサノ」から仕入れるなど、全国の生産者と強固なパイプを持ち、旬の表現にも努めている。店名にある「クリマ」とは風土のこと。トスカーナの風土、文化に日本の四季を融合させたひと皿が、佐藤さんのスタイルとして確立されている。

ムジェッロ風カペレッティ
サマーポルチーニをネピテッラ、ニンニクで炒めてパスタと合わせ、ローズマリーオイルで香りをつける。カペレッティの詰め物はジャガイモを生クリームで伸ばしたもの。ソースとの相性を考え、なめらかな舌触りに。

佐藤シェフ流パスタ

バヴェッテ

小麦粉と卵黄で作る生地は、小麦の味わいをストレートに感じられるよう、グルテンを出さないように練るのが伝統的な手法。オープン当初、パスタの優しい食感は日本人の口に馴染みがなかったが、その驚きや意外性がトスカーナパスタであることの周知につながっている。

「生産者はお店のパートナー」と考えている佐藤さん。
イタリア産のサマーポルチーニ、千葉産のネピテッラは夏の素材

青森産長谷川自然牧場の熟成豚は通年提供する。
ガルガネッリを作る器具は「エノテーカピンキオーリ」のシェフからのもらい物で、ラヴィオリの型は現地で購入したもの。こうした器具はお客さまに見せて説明するなど、サービスのひとつとしても活用する。

トスカーナのパスタのクラシックスタイルは、グルテンを出さずに生地をまとめること。パスタマシンで生地を伸ばしていくが、この際打ち粉は少なめにし、乾燥を避けるため生地に触る回数を減らすようにしている。

Shinichi Sato

1978年青森県生まれ。20歳でイタリアに渡り、マントヴァの「ダル ペスカトーレ」や、フィレンツェの「エノテーカピンキオーリ」などで5年半修業を積み帰国。東京・南青山の「イル デジデリオ」で総料理長に就任。2017年
に独立を果たす。

クリマ ディ トスカーナ
Clima di Toscana

東京都文京区本郷1-28-32-101
☎03-5615-8258
● 12:00~15:00(13:30LO)
18:00~23:00(21:00LO)
● 日、隔月休
● コース 昼2200円~(税込)
夜6800円~(税込、サービス料別)
● 30席
www.clima-di-toscana.jp

本記事は雑誌料理王国288号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は288号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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