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世界一のソムリエはどうやって決まるか?その6つの条件


 第14回世界最優秀ソムリエコンクールの決勝が3月29日、東京国際フォーラムで開かれ、スイス代表のパオロ・バッソさんが優勝。前回チリ大会準優勝の雪辱を果たした。日本代表の森覚さん(ホテルニューオータニ・トゥールダルジャン)は、準々決勝で惜しくも敗退、14位に終わった。

 世界最優秀ソムリエコンクールは国際ソムリエ協会(ASI)が主催する国際大会で、日本で開催されるのは田崎真也さん(ASI会長)が優勝した1995年大会以来2度目。50カ国56人のソムリエが世界中から集まり、3日間にわたってソムリエの技術や知識などを競った。

豊富な知識と、素早く正確な技術全てで圧勝したパオロさん

観客約4000人を集めて行われた公開決勝に残ったのは3名。ベルギー代表のアリスティード・シュピースさん、女性初のファイナリストとなったカナダ代表のヴェロニク・リヴェストさん、パオロ・バッソさんの順に競技はスタートした。 競技は6場面7種目。初めはゲスト3人の好みに応じたシャンパーニュのサーブ。続いて、2万円のディナーコースに合わせたワインのマッチングをプレゼンテーションし、6人のゲストに対するデカンタサービス、ワインリストの間違い探し、ワインとリキュール類のデギュスタシオンと続き、最後にワイン生産者の写真を見て名前を答えるサプライズ問題が出題された。

31歳の若さで世界の最高峰の舞台まで上り詰めたアリスティードさんと、初の女性ファイナリストのヴェロニクさんが、前回準優勝のパオロさんにどこまで迫るかに注目が集まったが、結果としてはパオロさんの圧勝。正確なサービスと素早い動き、さらに豊富な知識で全ての競技で高いポイントを獲得していた。

世界レベルのソムリエに求められる条件とは?

制限時間6分のデカンタサービスでは、6人のゲストにサーブし終えることができたのは優勝したパオロさんただひとり。そして、ワインリストにはウルグアイ・カネロネスや中国・山西省のワインが登場。イスラエルやメキシコのワインや、日本のトマトのリキュール「ラ・トマト」、メキシコのハイビスカスのリキュールなどをテイスティングさせるなど、求められる知識は幅広い。

大会競技から見えてきたのは現代のソムリエに求められる条件。それは素早く正確なテクニックと、地球の裏側まで知り尽くすほどの圧倒的な知識である。現代のソムリエの役割を明確に示した結果であった。

世界一のソムリエはどうやって決まるか?その6つの条件

1.3人の好みに合わせたシャンパーニュをサーブする

用意された 3 本のシャンパーニュ、モエ・エ・シャンドンの 2003 年、2002 年、1995 年(A.S.I. 会長の田崎さんが優勝した前日本大会の年)の中からリクエストに合わせたものを提供する。1人目は酸味の強いシャルドネ、2 人目はリッチで果実味が豊かなもの、3 人目はモカやキノコ、ナッツなど香りのあるものを希望。正解は02年、 03 年、95 年の順。

2.メニューに合わせたワインを5種類提案する

東京のあるレストランという設定で、2万円のコース料理に合うワインを 5 本プレゼンテーションする。なお、白ワインはそのうち 2 本まで。途中、競技者はワイン以外を勧める場面も。ヴェロニクさんはコーヒーや紅茶、ウーロン茶を。パオロさんは "サケ"スパークリングや、サントリー山崎などを勧めていた。

3.サービス実技 デカンタサービス

大テーブル 6 人のゲストにデカンタでサーブする。サーブするワインはサンテミリオンのVT1985の古酒。ボトルは2 本用意されるが、途中ゲストの 1 人がそれを取りあげてしまう。じつは、これもソムリエに対する問題のひとつ。澱が舞ったボトルをもう一方と取り替えてサーブしなければならない。

4.ワインリストの間違い探し

出題されたのは赤ワイン4本と白ワイン5本。ワイン名、ワイナリー名、品種などが大型スクリーンに表示され、それを競技者は見ながら間違いを口頭で指摘していく。スペルや品種、地名の間違いなど、非常に細かい知識が求められている。

5.デギュスタシオン (テイスティング)

デギュスタシオン(ワイン当て)は2種目が行われた。ひとつは4本のワインの特徴をプレゼンテーションしながら、ワインを当てるもの。出題は白、赤、赤、赤の順。もう1種目はワイン以外の酒、リキュール類のテイスティング。こちらは紙に回答を記入する。

6.画面に映った醸造家の名前を答える

大型スクリーンに映し出される醸造家の写真を見て、名前を答えるという、サプライズ問題。問題は8秒ごとに15枚。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの共同経営者、オベール・ド・ヴィレーヌ氏などが映し出された。

コンクールへ向けた充実した時間が僕を成長させる

第14 回 A.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクール 日本代表
トゥール ダルジャン 東京店 森 覚 さん

3日間に及ぶ競技ですから、大会中の風をうまく受けることができた人が勝つのではないでしょうか。しかし、その風は実力がある人にしか吹きません。つまり、僕にはまだ風が吹かなかった。まだまだ勉強しなさい、ということ。僕にとってコンクールはライフワーク。「出場して変わったね。心地いいし、楽しいよ」と、お客さまに言っていただけるのがコンクールに出る最大の意義だと思います。そして、世界一を目指すモチベーションのまま、30年、40年働くことが、僕にとってはベストだと思っています。


Cuisine Kingdom=取材、文 富貴塚悠太=写真

本記事は雑誌料理王国第226号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第226号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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