食の未来が見えるウェブマガジン「料理王国」

トップシェフ42人に聞く!オリジナリティとは何かVOl.4


トアヒス
山下泰史さん

世界に発言できる〝力′′を得る。
障がい者が働けるレストランを作りたい

僕は、フランス料理と、少しだけイタリア料理を学んできました。店名はTO・A・HI・SU、妻と3人の娘の名前の頭文字から成っています。3人の娘が障がいを持って生まれました。子どもたちに「何かを残したい」という思いから、妻の実家の長崎に近く、食文化が開けている場所を考えて福岡で独立。10年後には、障がいを持っている子どもたちが働ける本格的なレストランを作りたいと考えています。これから、料理人として”力”を持ち、発言力を高めることができれば、それが実現できるのではないか。その大きな夢が、今の僕の原動力です。

Profile
1986年、愛媛県生まれ。「ホテルヨーロッパ」「イル コルティーレ」「ジョエル・ロブション」など、国内の仏伊レストランで修業後、「アロマクラシコ」 でシェフを務めた後、福岡に移り、2016年に「トアヒス」で独立した。

ラメゾンドゥラナチュールゴウ
福山 剛さん

無理をしない。
自分にできることをしよう

「アジアのベストレストラン50」に入りましたが、ワースト3の48 位(笑)。ほかのお店と比べたら、うちの店なんて全然です。それでもお店がオープンしてから15年間満席をいただいたので、そのご褒美だと思っています。オリジナリティって、自分が今まで形成してきたものだと思います。そんなにすぐに人間は変われるものじゃないし、僕にもうまくできることとできないことがあります。そのなかで大切なのは「ブレないこと」なのかなと思います。福岡はスピード感のある街。料理にもスピード感が求められます。僕は来ていただいたお客さま全員に同じ料理をお出ししたい。何度来られても、毎回安心していただけるお店でありたい。一方で、キッチンは狭いので無理もできない。そのためお店では「おまかせコース」でやらせてもらっています。決めたことをずっとやり続けるためにも、無理せずできることをするようにしています。

Profile
1971年、福岡県生まれ。地元福岡のフランス料理店などを経て、 2002年に「ラ メゾン ドゥ ラ ナ チュール ゴウ」で独立。「アジア のベストレストラン50」では16年 31位、18年48位にランクイン。

メリメロ
佐藤大典さん

異業種からの刺激と食材の
探求がオリジナリティを生む

僕は、料理の話とは違う分野から刺激をもらいたいといつも思っています。ですから、異業種で働いている同年代の人たちとできるだけ一緒にいるように心がけています。なかには画家や音楽家もいて、彼らとの会話は刺激的で自分がクリエイティブでいられる。一方で、料理の本質は食材だと僕は思っています。最高の食材を知ることが大切で、それがオリジナリティのベースになるのではないか。第一、そこから料理をクリエイションしていかないと、根拠のない自信だけで作られた料理にしかなりませんから。僕よりも知識、テクニックを持っていて、おいしい料理を作る方はたくさんいらっしゃいます。僕にできることは、北海道の最高の食材と、そこにまつわるストーリーや空間をお客様に伝えること。それが、僕の役割だと思っています。

Profile
1980年、北海道生まれ。高校卒業後フランスへ渡り、帰国後は札幌のレストランへ。2013年、札幌「メリメロ」で独立。15年には札幌・大通りへの移転を機に、再渡仏。「アストランス」「ルドワイヤン」 で半年間研鑽を重ねた。

梶谷農園
梶谷 譲さん

人と反対のことをやる
垂れ流しの情報を見ない

僕は、農業はお金が儲かるっていうのを発信してきた。1日7時間労働で週休2日。1月と2月は休んで家族で海外旅行に出て、年間1000万円くらいの給料をもらっている。それはただ、人がやらないことをやってきただけ。三ツ星レストラン向けの農業をやっている人がいなかったから、僕はそれを初めてやって、今こうなった。誰もやりたくないことをやって、それを進化させてオリジナリティが生まれる。人と反対のことをやるんです。そのために垂れ流しの情報を、僕は見ない。全員に同じニュースを見せて同じ考えを持たせるような、日本独特の雰囲気は良くない。自分で情報を選ぶ、それはすごく大事なこと。僕は、10代から海外に出た。海外では、みんな好きなことしかしない。広島にいると、「今日カープ勝ったね」みたいな会話が通用するけど、世界では絶対通用しない。外から日本を見ると、「みんな同じ考えで、しょうもない」と思った。海外では、個性がないのは透明人間と同じですから。僕の技術を学びに、世界中からやってきます。ハングリーさがある人にはとことん教えます。「人を楽しませたい」「もっとお金持ちになりたい」とか、何かをしたい人たちはハングリー。朝起きた時から、「今日もやったるわ」って感じで、そういう人しか僕は求めないですね。

Profile
1979年、広島県生まれ。中学2年から大学までカナダで過ごす。世界トップクラスの園芸学校で学んだ後、帰国し2007年から実家の梶谷農園を継ぐ。

ドットコミュ
野村俊介さん(左)
中山浩彰さん(右)

「生きるを楽しむ」を作り出す
身体に漲るジビエソーセージ

僕たちは、こだわりのジビエソーセージを作る2人組。自らもハンターとして活動する一方、信頼できる仲間の猟師から質の良いジビエ肉のみを仕入れて、一貫して加工製造しています。いい仕事をするためには健全な身体作りが必要です(野村さん)。身体に人一倍こだわる元格闘家の2人ですから、保存料や添加物は使わず、素材にこだわって作る。ただ単にジビエ肉を売るのではなく、質の高いものを最高の形で届けたい。周りの人に楽しんでもらうために、まずは自分たちが圧倒的に楽しむこと。今日も直さん(本田さん)に誘われて、勢いで来ました。そんな僕らの生き方の表現のひとつが、ソーセージなんです(中山さん)。

text 江六前一郎 photo Kiyoshi Hamada, Yasuyuki Higuchi, Yohei Murakami

本記事は雑誌料理王国2018年7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2018年7月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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