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”トラットリア ケ パッキア”酒井辰也シェフ 「トルテッリーニ イン ブロード」


酒井流「今」の極め方
手打ちパスタならではのおいしさにこだわる

渡伊して直にイタリア料理を学ぶ料理人の多いなか、酒井シェフが3年のイタリア生活を終えて帰国したのは最近のこと。今のイタリア事情に精通している料理人の1人だ。そして、この6月には東京・麻布十番にある「トラットリア ケ パッキア」のシェフに就任した。そんな酒井シェフに、今もっとも提供したい料理をリクエストしたところ、長い麺棒と大きな板を取り出してきた。手打ちのトルテッリーニとタリアテッレを作ると言う。なぜか――。
「イタリアではシェフ自ら麺棒を使って生地を延ばす光景はほとんど見られません。パスタマシンを使うか、あるいは麺をのばすのを仕事としている人に任せる。だからこそ麺棒でのばすことにこだわりたい」手間はかかるが、表面がざらざらとしてソースやスープに馴染む麺になる。このパスタ作りの方法を酒井シェフは地元のおばあちゃんたちから学んだ。「イタリア人が見落としていくものを日本人がすくい上げて伝承してもいい」と思う。それも新しい形であるし、何より創作料理の原点が昔ながらの製法を確かめることにあるのをイタリアが教えてくれたのだ。

トルテッリーニ イン ブロード

材料(1人前)

トルテッリーニの生地(手打ち)……60個分
トルテッリーニの詰め物……約240g
ブロード……トルテッリーニが皿の中で浸るくらいの量

●ブロード(作りやすい分量)
丸鶏……半分
牛の骨付き肉……500g
牛すじ……250g
タマネギ……1個
ニンジン、セロリ……各1本
水……6L

●トルテッリーニの詰め物(作りやすい分量)
生ハム……50g
モルタデッラ……125g
豚ロース肉……250g
卵……1/2個分
パルミジャーノチーズ……75g
ナツメグ、塩……少々

作り方

1.ブロードを作る。鍋に水と肉類を入れて沸騰したらこまめにアクを取る。アクが出なくなったら、野菜を入れて6時間ほど煮込み、濾して仕上げる。
2.トルテッリーニの詰め物を作る。豚ロースは肉を半生に焼いて冷ます。これを残りの材料と一緒にミンチマシンにかける。
3.手打ちのトルテッリーニの生地に1個につき4gぐらいの2を詰めていく(上の写真参照)。
4.3をゆで上げたら皿に盛り、1のブロードをたっぷりと注ぐ。

生パスタの材料は00粉400gに対して全卵4個と卵黄1個分。
粉に卵を吸わせるように、こねては休ませるという工程を3回ほど繰り返す。
トルテッリーニの場合、のばした生地を2.5㎝角にカットして具を詰めていく。
「トルテッリーニ イン ブロード」
澄んだスープに、卵を使ったパスタ独特の黄色が映える見た目にも美しい一皿。コクのあるスープにトルテッリーニの生地がよく馴染み、具が味に深みを出す。
1985年、茨城県生まれ。高校卒業後、地元のイタリア料理店に就職し、20歳で上京。麻布十番「ヴィノ・ヒラタ」で修業したあと、31歳で渡伊し、シチリアやエミリア・ロマーニャ州の有名店で腕を磨く。3年後に帰国し、2020年「トラットリア ケ パッキア」のシェフに。

トラットリア ケ パッキア

東京都港区麻布十番2-5-1 マニヴィアビル4F
TEL 03-6438-1185
18:00 ~翌1:00
日、祝日の月定休

text 上村久留実 photo 依田佳子

本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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