【進化する次世代のパスタ】小池教之シェフの「トゥロフィエのペスト・ジェノベーゼ」


オール・イタリア産も可能な時代に

次世代に引き継ぎたいパスタは「トゥロフィエのペスト・ジェノヴェーゼ」。これを選んだ理由は「伝統を取り巻く人、物の環境に進化を感じるから」。今回、素材としてイタリア産のセモリナ粉、塩、水、リグーリア産の松の実とオリーブ油、サ ルデーニャ産のペコリーノと、つまり鮮度重視のバジリコ以外全てイタリア産というもの。

トゥロフィエ作りを見たが、擦りつけるような手の動きで、らせん状のねじれた形が次々と生み出される。シェフ曰く「本質を求めて、時代に逆行してゆく事も進化であり深化」。難易度は高いがだからこそ伝えたい技の一つなのだという。

ソースは「表面が冷たい大理石でバジリコを擦り潰すので素材の味や香りが劣化しにくい。さらに余分な油脂分も加えなくてすむので、ストレートに目指す味や香り、色が表現できます」。ひと手間かけて作ったペスト・ジェノヴェーゼは、格段の仕上がりとなる。

料理の根幹は変わることがないが、考え方、食材、器具などの用い方で味わいや表情は少しずつ変化をとげる。このジェノヴェーゼは日本人シェフたちが挑んできたイタリアの味を象徴しているかのようだ。

【レシピ】 トゥロフィエのペスト・ジェノヴェーゼ

■ トゥロフィエのペスト・ジェノヴェーゼ
材料(作りやすい分量)

バジリコの葉……20g
松の実……15g
粗塩……1粒
ペコリーノ・サルド……10g
トゥロフィエ40g(1人前)
茹で汁用の塩……適量

作り方

  1. モルタイオに松の実、粗塩を加えて擦り潰す。
  2. バジリコの葉を加えて押すように擦り潰していく。[A][B]
  3. 仕上げにペコリーノ・サルドを加える。
  4. 塩湯でトゥロフィエを茹でる。
  5. トゥロフィエをペスト・ジェノヴェーゼで和える。
A
B

■ トゥロフィエ

シェフからの一言アドバイス
レシピ通りにしても湿度や温度、こねる台よってコンディションが変わります。私は程よく摩擦があり、生地の水分を吸収してくれる、木製の台を選んで使用しています。トゥロフィエは難易度が高いですが自分の感覚をつかんでください。「グルテンを信じましょう」。

セモリナ粉……500g
水……220 ~ 230ml
塩……5g
塩……適量

作り方

  1. 生地をこね棒状にする。さらに細長くして幅1cmくらいに切る[C]
  2. 小指のつけ根から生地を置いて、左手前にころがしながら、らせん状に成形する。[D][E]
C
D
E
小池教之(こいけ・のりゆき)

小池教之(こいけ のりゆき)
1972年生まれ。93年「ラ・コメータ」から修業を開始。2003年に渡伊。トレンティーノ・アルト・アディジェ、ピエモンテ、ウンブリア、プーリア、シチリア、カンパーニアの6州で研鑽を積む。帰国後「インカント」シェフを経て、 2018年独立。オーナーシェフとして現店をオープン。

オステリア・デッロ・スクード
東京都新宿区若葉1-1-19 Shuwa House 014 1F
TEL 03-6380-1922
月曜~土曜 18:00 ~ 23:00(最終入店20:00)
日曜定休、月1回不定休あり


text 飯島千代子 photo 海老原俊之

本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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