BOTTEGA(ボッテガ)/笹川尚平
師匠「アロマフレスカ」 原田慎次
富山県に生まれ、調理師学校を卒業後、上京した笹川尚平シェフ。見識を深めるために多くの飲食店を訪れ、食べ歩きを重ねるなかで、イタリアの郷土料理に強烈に惹かれ、渡伊を決意する。
その前に、どうしても行ってみたいと思っていたのが、原田慎次シェフの「アロマフレスカ」だ。当時、すでに3カ月も予約が取れないほどの人気店。「料理が旨いのはもちろん熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供する。そういうタイミングやサービスすべてが作り出す雰囲気とバランスの良さ、心地よさに驚きました」。
そして、ピエモンテやカンパーニア、トスカーナで研鑽を積んで帰国後、02年に縁あって同店に勤務することになる。そこで気づいたのが、かつて感動したバランスが成り立つ根底にあるのが、「丁寧さ」であることだったのだという。「最初は、どうしても店のパスタの味にならない。完成図から逆発想してみると、丁寧さが足りていなかったんです。20カ所くらいのポイントで気を付けているつもりだったけれど、突き詰めてみると30も50も……いくらでもポイントがあったことに気づかされました」。
さらに、自らの技術に慢心せず、常にブラッシュアップする原田シェフの姿も印象的だったという。「例え一度は茹で時間6分と定義したパスタでも、検証して、常にこれが現時点のベストかを探る。その時間をともにしたことが、今に続く財産です」。
まず、修業時代の思い出の一皿として挙げてくれたのが「富山県産白海老とカラスミのタリオリーニ」。トロリとした白海老とポロネギの甘味、生パスタのもちっとした食感に、カラスミのひとクセある塩味が立体感と精彩を与える。「原田シェフに教わったパスタは、すべて思い出深い。一皿に絞れなかったので、自分の出身地で取れる素材を使ったものにしました」。
材料(1人前)
富山県産白海老 60g
ポロネギ 30g
赤トウガラシ 1本
タリオリーニ 60g
ニンニクオイル 大さじ3
あさりだし 100ml
レモンオイル、鮎魚醤 各小さじ1
カラスミ、アサツキ、E.V.オリーブ油 各適量
タリオリーニ(作りやすい量)
ファリーナ00粉 500g
強力粉300g
全卵 5個
卵黄 4個分
塩ひとつまみ
オリーブ油少々
作り方
1. タリオリーニを作る。ボウルにファリーナ00粉と強力粉を混ぜ、中央にくぼみを作って残りの材料をすべて加え、滑らかになるまで練る。生地を袋に入れて密閉し、冷蔵庫で一日休ませた後極薄にのばし、タリオリーニ幅にカットする。
2. ニンニクオイルに赤トウガラシとせん切りのポロネギを加えて炒め、白海老20g、あさりのだしを入れて煮詰める。
3. 塩湯で茹でたタリオリーニを 2 に入れてE.V.オリーブ油を加え、よく絡める。
4. 3 を皿に盛り、レモンオイルと鮎魚醤でマリネした白海老40gをのせ、すりおろしたカラスミと刻んだアサツキを散らす。
text 木村千夏 photo 篠原宏明
本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。