世界の多くの国で食されている牛肉。焼く、煮る、揚げる、あるいは生食と、その食べ方はさまざまだ。
世界各地を旅しながら訪れた国々のリアルなレシピを研究する料理家、口尾麻美さんに、6つの国のユニークな牛肉家庭料理を教えていただいた。
牛肉料理で巡る「テーブルの上の世界旅行」で、新たな牛肉体験を!
台湾南部には牛肉の有名な産地がある。新鮮な肉が入手できる台南ならではの料理がこの「牛肉湯」だ。牛肉と野菜を煮込んで取ったスープを、なんと生肉にかけて食べるという。「台湾でも南部でしか食べない料理。水や空気のきれいな牧草地で育った牛だからできる一品です」
現地では並んででも食べたい専門店の味。口尾さんはその味を家庭でも味わいたいと、レシピに工夫を凝らしたそう。スープに深みを出すために牛肉にキャベツや大根を加えて煮、ゆっくりと味を出す。煮たあとの野菜は取り出してスープだけを味わうというから少々贅沢な気もするが、だからこそ澄んだ味になるのだろう。そこに生肉を入れてアツアツのスープを注ぎ、まずはスープを味わってから、うっすらと色が変わった肉を醤油ダレにつけてしょうがと一緒にいただく。奥深い味わいが体にじわりとしみる。
豚肉料理が多い台湾だが、南部には有名な牛肉の産地があるのだという。これは、新鮮な牛肉が手に入る場所ならではの大胆な食べ方。口尾さんが現地の味を再現。
スープ
・牛肉(もも、肩などの塊)……500 ~ 600g
・キャベツ(ざく切り)……1/4個
・大根(乱切り)……10cm
A
・ローリエ……1枚
・白こしょう(粒)……小さじ1
・しょうが(薄切り)……3枚
B
・醤油膏(台湾のとろみ醤油、たまり醤油で代用)……大さじ2
・塩……小さじ1
・水……1.5ℓ
具
・牛肉(しゃぶしゃぶ用など)……300g
つけダレ
・醤油膏(たまり醤油で代用)……適量
・しょうが(千切り、水にさらしておく)……適量
口尾麻美 Asami Kuchio
料理研究家·フォトエッセイスト。料理教室「Amazigh」主宰。アパレル会社に勤務後、イタリア料理店を経て独立。世界を旅して料理や食材を味わい、各地で出合った料理を再現すべくレシピを研究する。『おはよう! アジアの朝ごはん』(誠文堂新光社)、『まだ知らない 台湾ローカル 旅とレシピ』、『はじめまして 電鍋レシピ』(共にグラフィック社)など著書多数。
text Miki Numata photo Yukako Hiramatsu recipe Asami Kuchio
本記事は雑誌料理王国2021年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2021年4月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。