16年に及ぶイタリア生活は、河合シェフにとって学びと発見、そして吸収したものを反芻する時間でもあった。この時期を経て何をどう表現するのか――。そこで出した結論、それが「軽さ」と「シンプルさ」だった。「軽さ」の象徴はフィレンツェ風ニョッキ。フィレンツェのニョッキは、ほかの地方のものとは異なり、くぼみやギザギザをつけずに筒状にしてカット。小麦粉の量も少なめなのでふわふわと軽い食感が特徴だが、河合流になるとそれがもっと軽くなる。「小麦粉の量をさらに減らし、ジャガイモも粘り気の少ない男爵を使用。ゆでたジャガイモを十分に冷ましてから粉と混ぜることも軽く仕上げるポイントです」
筒状の小さなニョッキの軽さは、従来のニョッキのイメージを覆す。フィレンツェ風はもともと軽いが、河合シェフは粉の量をさらに5 分の1 に減らして、一層軽やかにしている。
材料(1人前)
ニョッキ……150g
ラグーソース……150g
ローズマリー……1本
パルミジャーノチーズ、パセリ、E.V.オリーブ油、
塩、コショウ……適量
●フィレンツェ風ニョッキ(8人前)
ジャガイモ(男爵)……1㎏
薄力粉……200g
パルメザンパウダー……100g
卵……1個
塩……8g
ナツメグ、コショウ……適量
●ラグーソース(10人前)
牛ひき肉……700g
豚ひき肉……300g
タマネギ……500g
ニンジン、セロリ……各200g
ニンニク……5片
赤ワイン……300ml
フォン・ド・ヴォー……200ml
セージ、ローズマリー……各20g
ローリエ……3枚
ホールトマト(水分含む)……1㎏
塩、コショウ、E.V.オリーブ油……適量
作り方
●ニョッキを作る。
1.ジャガイモをゆでで、冷たくなるまで冷ましてマッシャーにかける。
2.1にふるった薄力粉(マッシャーにかけた後のジャガイモの分量の20%が目安)、パルメザンパウダー、卵、塩、コショウ、ナツメグなどを入れて混ぜ合わせる。つながりが悪い場合は少量の薄力粉を加えて調節する。
3.少量の打ち粉をしながら、直径1.5㎝ほどの棒状にのばし、1㎝の長さにカットしてバットにならべ急速冷凍する。
●ラグーソースを作る。
1.フライパンでひき肉をパラパラになるまでしっかり炒める。
2.鍋にE.V.オリーブ油、みじん切りにしたタマネギ、ニンジン、セロリ、ニンニク、ローリエを入れて弱火でしっかり炒めてソフリットを作っていく。
3.2に1を入れて炒め、塩、コショウで味付けをしたら、赤ワインを入れて少し煮詰める。焦げないように注意しながらしっかりと炒めてコクを出す。
4.ホールトマトを液体ごとミキサーにかけたものとみじん切りにしたローズマリー、セージ、フォン・ド・ヴォーを3に加えて弱火で3時間ほど煮る。水分が足りなければ、水を足しながら加熱する。
5.ローリエを取り出し、塩、コショウで味をととのえる。
●フィレンツェ風ニョッキのラグーソースを仕上げる。
1.塩分1.5%ほどの湯の中でニョッキをゆでる。
2.鍋にラグーソースとローズマリーを入れて熱し、ゆで上がったらニョッキを入れてからめる。
3.2を皿に盛り、適量のパルミジャーノチーズ、パセリ、E.V.オリーブ油、コショウをふる。
河合鉄兵
京都府出身。調理師専門学校卒業後、京都の老舗イタリア料理店にて修業。その後、渡伊し、シエナ、フィレンツェなどのトスカーナ州のレストランで経験を積む。渡伊から16年後に帰国。2018年、東京・広尾に「ラ・トラットリアッチャ」をオープン。
ラ・トラットリアッチャ
東京都港区南麻布4-2-49 麻布サンパレス2F
TEL 03-6874-3637
https://www.la-trattoriaccia.com/
text 上村久留実 photo 依田佳子
本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。