私たちの生活におなじみのソフトクリーム。材料を厳選した高品質なものは、ファインダイニングでもしっかり活躍してくれる。ソフトクリームの可能性を広げるメニューとは?どのようにソフトクリームを使えばいいのか? 東京・広尾のフランス料理店「au deco」の掛川哲司シェフにうかがった。
ソフトクリームは、食べたことのない人がいないほど、日本人に愛され続けているアイテムです。そのソフトクリームをレストランのデザートとして扱う場合、アイスクリームやソルベ同様、ソフトクリームを前面に出す冷菓デザートとしてはもちろん、冷たいクリーム感覚でも活用できます。今回はサバランと合わせましたが、ソフトクリームは子供時代の楽しい思い出など懐かしさを感じさせる面があるので、レトロなものとも相性がいいですね。(掛川)
【イートインデザート】
白のサバラン ボランジェ 伝統と懐かしさを合わせて
意外に思われるが、ソフトクリームは粘性が高い。このデザートではその崩れにくさを活用して、シャンパーニュを注いで楽しむ一品に。ソフトクリームで覆ったのは、サバラン。クレーム・シャンティを合わせることが多いが、ソフトクリームに置き換えた恰好だ。サバランは、チェリ―・ヒーリングとペルノーに浸けたもので、ペルノーをフレーバーに使ったソフトクリームと相乗効果となり、ふくよかな味わいを生み出す。
自家製のクリームチーズソフトクリームを使って
クリームチーズを使ったよりコクのある自家製ソフトクリームに、ペルノーをプラスし、爽快感をプラス。
【テイクアウトデザート】
プリムラピスタチオ
花のブーケをイメージした一品。コーンに入った、通常のソフトクリームのスタイルを一歩も二歩も推し進めて、エレガントで華麗なアイテムに。コーンの底にはマシュマロ、その上にピスタチオソフトクリームをたっぷり絞り出し、マカロン、イチゴのスライス、スミレのクリスタリゼ、ピスタチオのアッシェをトッピング。仕上げにスミレのリキュールを刺し、ぐっと洗練された大人の味わいに。紫の色みも効かせ色。
【テイクアウトデザート】
自家製のピスタチオソフトクリームを使って
ピスタチオのやさしい風味と濃厚な味わいがしっかりと感じられる。人工のフレーバーや色素は不使用。
ソフトクリームのテイクアウトは、味だけではなく、食べ歩いたりして周囲の人の目に触れることを意識し、「あれ、何?」と思われるような見た目も、重要です。コーンを包むスリーブも工夫し、例えばお店のQRコードや最新情報を載せたりしてもいいのではないでしょうか。食べ物としてはもちろんですが、ソフトクリームをPRアイテムとして活用するというわけです。
身近さゆえに活用されていなかったお店でも、ソフトクリームには大きなポテンシャルがあるので、さまざまなデザートで活用できます。 (掛川)
掛川哲司シェフ
1978年、神奈川県出身。箱根や青山などの名店で修業後、独立。「Ata」「グッドラックカリー」「Varmen」、2019年には広尾に「au deco」と、タイプの異なる店舗を開業。いずれも高い人気を誇る。
1951年、「日世」が日本で初めてソフトクリームを紹介して半世紀以上、観光地や高速道路のサービスエリアなどですっかりおなじみとなった。現在ではご当地ソフトクリームといったバリエーションも豊富となっている。
厳選した原材料を使用し、安心・安全にも注力するのはもちろん、お店の方と一緒にオリジナルフレーバーのソフトクリームを作ることも少なくない。機械、コーンやワッフル、トッピングなども多彩に取り揃えている。カジュアルにも高級にも活躍してくれるのも、ソフトクリームならではの魅力。ご相談しながら、ご希望に沿ったソフトクリームを提案している。
ソフトクリーム作りに欠かせないのがフリーザー。「日世」では新鮮な状態でソフトクリームを提供できるフリーザーを各種ご用意。高い耐久性を備え、万が一のときもしっかりサポートできる体制を整えている。コンパクトサイズもあり、写真のようなダブル機フリーザーでは、1台で2つのフレーバーや、ツインのソフトクリームを作ることができる。
ソフトクリームのもととなるソフトクリームミックスは、人々の記憶にあるベーシックな味わいは守りつつ、よりよい原材料を使うなどして、常にグレードアップしている。基本のバニラ・ミルク系だけでも、乳脂肪分や材料により、舌ざわり、味、香りなどがそれぞれ特徴のある、きめ細かいラインナップで展開。他にもチョコレートや抹茶、イチゴや巨峰などの果物、サクラやマロンなど季節限定のフレーバーもご用意。
日世について
1951年にソフトクリームを初めて日本に紹介したソフトクリームの総合メーカー。液体原料(ミックス)、可食容器のコーン、ソフトクリーム製造機であるフリーザーを製造販売している。
日世株式会社
〒567-0042 大阪府茨木市宇野辺1-1-47
TEL:072-624-0001
https://www.nissei-com.co.jp/
取材・文=羽根則子 写真=小沼祐介