【ジャン・ルイ・コケ】200年の歴史が反映された「高貴な白」


【ジャン・ルイ・コケ】

卓越した職人技と独創性が生み出す高貴な白と繊細なラインフランスの磁器の原点である、リモージュの土を自家配合した磁土から生まれる200年の歴史が反映
された「高貴な白」。繊細なラインを手作業で掘り出すことで生まれる、代表デザイン「エミスフェール」には、クラフトマンシップの極致がある。

1824年創業、数あるリモージュの名窯の中でも、今も100%リモージュ製を貫く磁器アトリエ。リモージュ市近郊のサン・レオナール・ド・ノブラ村で、一つの食器に対して30人もの職人が関わり、多くの手仕事の工程を経て生み出されている。

代表作の「エミスフェール」は「半球」という意味。赤道で地球を切った断面をイメージし、惑星やそれらで構成される太陽系、自然は円の重なりから生まれ、「皿にのせる料理も元をたどれば自然の循環から生まれた円である」という考えのもと名付けられた。

ジャン・ルイ・コケのアイデンティティとも言える美しい白色は、既存の配合磁土を購入するのではなく、リモージュ産の土を独自で配合し研究を重ねることによって生み出された、200年の歴史の賜物だ。1998年に、ジャン・ルイ・コケ氏の娘のシルヴィ・コケ氏によってデザインされた、モダンでスタイリッシュな「エミスフェール」は代表的なデザインだが、刷毛目を思わせるような繊細なラインは1本1本職人の手作業により掘りだされ、その「ゆらぎ」が生み出す柔らかな表情は印象的だ。手彫りの型だが、20枚も取れば1㎜にも満たない繊細なラインが崩れてくるため、また新しい型を製作するという。合理的な現代からは信
じられないほどの手間暇をかけて1枚の器が生み出されている。

ウェス
ティン都ホテル京都にある「DominiqueBouchet Kyoto」も愛用している。

卓越した職人技と独創性、そして時代を超えて守り受け継ぐサヴォアフェール(匠の技)から、2010年には、フランス政府が誇る無形文化財企業にいち早く選ばれている。世界の著名シェフに愛される名窯だが、今年10月に隈研吾氏デザインのファインダイニングをフランス・パリに開業予定の、元「パッサージュ53」の佐藤伸一シェフも愛用者の一人。「シンプルで、品がある。新しい店も、皿の8割はコケにする予定」というほど、気に入っているという。また同窯で作るもう一つのブランド、釉薬で「侘び」を思わせる作風の「ジョーヌ・ド・クローム」も人気だ。

今年2月に東京のホテルニューオータニで行なわれた、佐藤伸一シェフと「ラ シーム」高田裕介シェフのコラボレーションディナーでも、ジャン・ルイ・コケの器が大活躍。ニシンに柑橘の晩白柚をまとわせたこのひと皿では、キラキラと輝く果実の美しさを、器の白がより一層引き立てた。

SHOP DATA アオセフランス株式会社
兵庫県西宮市樋之池町9-12
TEL 0798-31-7017
https://www.aocfrance.jp

本記事は雑誌料理王国322号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は322号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

©Yoshiko Yoda



SNSでフォローする