和食の技術で旨味を入れた「牛肉の昆布締め」


西天満 桜会

刺しの入った美しい牛肉に、青ねぎのソースを添えた一品。肉の甘みを感じる調理法は見事だ。
丁寧な仕事で素材の美味しさを掛け合わせ、香り、味わい、そして彩りの調和で小さな世界を作り上げる。
ひと口ごとに肉の旨みを噛み締めて、じっくりと味わいたい一皿だ。

満田健児さん

大阪・西天満に店を構える満田健児さん。店名の「桜会」は、平安時代、桜の頃に営まれた法会のことで、地名にちなんで桜に縁のある名前を付けたのだそう。素材本来の魅力を存分に生かした料理は「新日本料理」と呼ばれ、関西の食通に人気の店だ。


今回ご紹介いただいたのは、牛肉の昆布締め。「白身魚などに使う昆布締めの技法を牛肉に使いました。昆布の旨みとあいまって、肉の味わいがより引き立ちます」。酒に湿らせた昆布で牛肉を挟み、密閉できる耐熱のビニール袋に入れて空気を抜いたら、60度の湯に浸けて90分おく。取り出して昆布を剥がし、肉をラップで包んで常温で冷ます。昆布は、すだちを入れた甘酢でやわらかく煮詰め、肉に添えて付け合わせに。すり鉢ですった青ねぎをお粥と合わせて丁寧にこしてなめらかにしたら、色鮮やかなソースの出来上がりだ。湯せんでゆっくりと火を通した牛肉は美しい赤色。「生のような色ですが、火はしっかり通っています」。脂身の甘みが引き出され、昆布の旨みと重なって、じわりと響く美味しさ。独
特の食感がまた心地よく、とろけるような脂と肉の噛みごたえのバランスも素晴らしい。青ねぎのソースをつけると味わいが変わって、それもまた良し。和食の深みを感じる一皿だ。

大阪府大阪市北区西天満4-10-5 H.C.S西天満ビル1階
TEL 06-4397-3987
ディナー 17:30~23:00(L.O.21:00)
定休日:月曜・土曜・日曜・祝日
https://sakurae.com

本記事は雑誌料理王国322号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は322号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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