あのシェフが語るお気に入りのまかない「ラ・ブリアンツァ 奥野義幸さん」


スタッフが持ち帰った故郷の食材で地方料理を体験する

 スタッフが帰省したり、旅行に出たりすると、地元の食材を土産代わりにもって帰ってくることがある。六本木のイタリアンレストラン「ラ・ブリアンツァ」のまかないは、その食材を使って、その土地の料理を作ることが定番になっている。

「まかないを作る側も、たとえば故郷の味となると、実家に電話して作り方を聞いたり、真剣に、主体的になるでしょ。
たまに、『シェフ、あの料理は土鍋を使わないとできないんです』と相談されれば、『よし、俺が明日持ってくる』と、こちらも真剣になりますよ」と奥野さんは笑う。

 この日のまかないは、奥野さんが出身地の和歌山から買って帰ってきた、老舗のしらす屋「山利」の釜揚げしらすの卵とじ丼。しらすは、生まれたばかりの方が高価とされている。「でも、僕は大きく育った方が、イワシの味がしっかりして好き。それを卵とじにしようと。自分の好きな食べ方、おいしい食べ方で、みんなに食べてもらおうと思って」と奥野さん。

 あらかじめ作り置きしていた和風だしに、卵をとき、しらすと和歌山県御坊市の「三ツ星醤油」(堀川屋野村)を加えてさっととじる。仕上げに九条ネギをちらして完成。脇には、和歌山の金山寺味噌も添えた。「ラ・ブリアンツァ」のまかない担当は自然に決まるというのも、こうした工夫によるところが大きい。

取材前日まで、和歌山県の生産者のもとを訪ね歩いてきたという奥野さん。訪問先で購入してきた、和歌山市で七代続く老舗のしらす屋「山利」の「いか入り 釜あげしらす」と、御坊市の「三ツ星醤油」(堀川屋野村)。

La Brianza
東京都港区六本木6-12-3
六本木ヒルズレジデンスC棟3F
● 11:30~15:00、17:30~23:30(22:00LO)
● 無休
48席
www.la-brianza.com


柳本元晴=取材、文 星野泰孝=撮影 


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