あのシェフが語るお気に入りのまかない「ラ・ビオグラフィ」滝本将博さん


炊飯器ひとつの簡単料理も、ひと手間かけてランクアップ

 まかない作りには思い出がある。「僕の修業時代は、料理することが喜びだった。シェフに『旨い』と言わせたかった」と、滝本将博シェフ。「今の若者は頭でっかちな人が多くて、仕込み作業の段階で、仕事が続かない。でもスタッフの仕事はあくまでも僕の補助。自分を表現する場として、まかないを使ってほしい」 そう考えて任せてみたら、なんとカレーに4時間もかけた人がいた。「サクッと作るのも技術」であり、創作はまず〝料理〟を覚えてから。焼き魚でも玉子焼きでもいいから「おいしく」作ってほしい。今はそう考えており、パスタやごはんものなど軽く食べられる料理が中心だ。

 この炊き込みご飯は、講師を務める料理教室の生徒にも好評なひと品「。まかないには火口を使わない炊飯器が便利」と、レシピはすべてを炊飯器に入れるだけ。ポイントはタマネギとニンジンの下準備だ。オリーブオイルでニンニクを熱して、香りを野菜にまとわせるように炒める。「生で炊飯器に入れると野菜の味が引き出せない。油の温度を変えて炒めるだけで一気においしくなる」

火口を使わない炊飯器はまかないで活躍する。「野菜を生のまま炊くと、生煮えのようになっておいしくない。ひと手間かける。和食の炊き込みご飯にも応用できる技ですよ」と、滝本シェフ。

 味付けは塩のみ。エビ、イカ、ベーコン、バターをのせて炊飯すれば、意外なほどプロの味に仕上がる。
 たまには仔羊など豪華な食材も使わせる滝本シェフ。若手には、基本を習得してほしいと切望している。

La Biographie…
ラ・ビオグラフィ
京都市中京区衣棚通御池下ル長浜町152
● 12:00~15:00(13:00LO)18:00~19:30LO
● 月・火休、不定休あり
● 18席
http://la-biographie.info/


藤田アキ=取材、文 村川荘兵衛=撮影

本記事は雑誌料理王国第297号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第297号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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