2024年7月27日
近年、日本のユズやスダチが海外の料理人に重宝される一方で、日本では外国原産の農作物を栽培する生産農家が増えている。海外から帰国したシェフの中には、現地で使っていた食材を日本で求める人も少なくない。
「より良いひと皿のために生産者も挑戦すべき」という考え方が、梶谷光弘さん、高男さん親子のオリジナリティの支柱となっている。
現に代々ミカン栽培を中心としてきた梶谷農園のハウスでは、ベルガモット、コブミカン、赤い果肉のレモンやフランス産のザクロなど、珍しい果物が実る。中でも一番注目されているのがキャビアライムだ。
キャビアライムは果肉がキャビアのような粒状で、山椒に似たフレッシュな香りが特徴。オーストラリア原産のこの柑橘にいち早く着目したのが光弘さんで、日本における栽培の第一人者とされる。
見た目や香りだけでなく、食材の引き立て方も独特で、普通は肉に柑橘の搾り汁をかけると全体が同じ味わいになるが、キャビアライムは1粒1粒が薄皮で覆われているので、口の中で弾けて肉の味を変える。「カクテルに入れても粒が口の中で弾けて、同じように味の変化が楽しめますよ」と光弘さん。キャビアライムの魅力に虜になっている顔だ。