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AI時代はコワくない 野村友里 イートリップ

野村友里  eatrip

 野村友里  eatrip

料理はエネルギーの交換であり
心と体を満たすもの

「私の思考は今AIとは正反対の方向を向いているので、AIは私の思考の外側にいる存在なんです」と前置きをして、野村友里さんは2015年に制作され、自らも関わったハリウッド映画の話をしてくれた。

「『ロスト・エモーション』(日本公開2017年)という映画は、人類滅亡の危機に瀕した近未来で、愛情や嫉妬といった感情を持つことを禁じられた世界の物語です。その中で、楽しみの象徴として、食事がキーになっていました。その料理を監修する機会をいただいたのです」

映画に関わりながら、こんな未来になったら自分はどうするだろうと考えた、と野村さんは言う。映画では、秩序を保つために、感情を持たない均一の人間を生み出したが、果たしてそれでいいのだろうか。

「オーガニックや有機は、虫が食べていたり、多少小さくてもそれに寄り添っていこう、力強く生きているほうが野菜にも人間にもいいよね、という考え方。私は、こちらの考え方を大切にしたいです」

料理は単に、腹を満たすものではない。尊い命をいただき、還元していくものであり、生と死の接点、エネルギーの交換でもあるのではないかと、野村さんは考えている。

「料理人なら『おいしい』だけでなく、食べてくれる人の心と体を満たす料理を作り続けたいですね」

シェフがAIに勝てる理由
完ぺきじゃない料理を人は求める

Yuri Nomura
料理人、「eatrip」主宰。20代でイギリスに渡ってヨーロッパの家庭料理を学び、30代で渡米。バークレーの「シェ・パニース」の厨房で料理人として働く。映画監督やラジオDJ、文筆、アーティストなどさまざまな活動を行いながら、その拠点として「eatrip」を主宰する。主な近著に『Tokyo Eatrip』(講談社)がある。

野村友里さんの10年後も作り続けていたい料理とは?


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