美食の羅針盤Vol.3 「アラン・デュカス」と「エル・ブジ」の哲学を融合した新店に注目!

コロナ禍で疲弊したヨーロッパの美食界に活力を。

左から、プレアルパト氏、アドリア氏、デュカス氏、メダー氏。コロナ禍のあおりを受けてスペインの全6店舗を閉店せざるを得なかったアドリア氏。そのスタッフたちに、新天地でのチャンスを与え、新しい料理を生み出したいと、長年の友人であるデュカス氏が提案して生まれたプロジェクトだ。

フランス料理の帝王とも呼ばれるアラン・デュカス氏が、ミシュラン三つ星の「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」を契約満了により閉店。そのチームが「エル・ブジ」のアルバート・アドリア氏と共に「フランスとスペインの食文化を融合し、人にも地球にも健康な美食を」と生み出す、期間限定レストラン「ADMO*」とは?

「ヴェルサイユ宮殿の農園で取れた野菜、松の実、トランペット茸」

「フランス料理の帝王」が始めた新たな挑戦

今年6月をもって、ホテルプラザアテネとの21年に渡る契約を満了したアラン・デュカス氏。その後の活動が注目されていたが、8月末に正式に発表されたのが、「エル・ブジ」のフェラン・アドリア氏の弟、アルバート・アドリア氏を迎え、11月9日から100日間限定でオープンするポップアップレストラン「ADMO*」。愛弟子でもあり「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」エグゼクティブシェフだったロメイン・メダー氏、同じくペストリーシェフで、世界のベストレストラン50で2019年のベストペストリーシェフにも選ばれた、ジェシカ・プレアルパト氏をはじめとする「元プラザアテネ」チームがその中核を担う。

デュカス氏は1987年、イタリアに程近いモナコの「ルイ・キャーンズ」で、地中海地方の健康的な食文化を反映させた、野菜中心のメニュー「キュイジーヌ・ジャルダン」をいち早くスタートさせた。彼にとって「人にも地球にも健康的な料理」は、常にその哲学の根底にある。今回、フランス・マクロン大統領の支援のもと、「フランスとスペインにルーツを持ち、革新的で、理にかなっていて、サステナブルな美食のあり方を提案する」と意気込みを語る。

未だ続くコロナ禍で、ヨーロッパでも数多くのレストランが営業の停止を余儀なくされてきた。また世界各国からの観光客が激減し、「美食」よりも普段使いできるカジュアルなレストランが注目を集めている現状もある。「ADMO*」は、そんな状況に一石を投じ、食の創造性とエネルギーを再び取り戻すきっかけとなり得るプロジェクトだ。

パリから発信する
「多様な文化への敬意」

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