高師宏明さんが、ホワイトアスパラガスと、リコッタ入りのトルテッリーニに合わせるソースとして考えたのは、北イタリアの伝統的なソース、ブーロエサルビアにパルミジャーノチーズを加えたソースだ。ベースになるのは、バターソース。
今回は、主素材の色が淡いので、バターを火にかけ、焦げる一歩手前で水を入れ、乳化させる。
ブーロエサルビアは、バターとセージで作る、北イタリアではとてもポピュラーなソース。これに、例えばローズマリーとフォンドヴォーを入れれば、サルサ・ピエモンテというピエモンテ州の伝統的なソースにもなる。
「今回はホワイトアスパラを使いたかったので、彩りも考え、パルミジャーノチーズを合わせました」
シンプルなソースだが、トルテッリーニの中に詰めたリコッタの風味を邪魔することのないよう、パルミジャーノチーズの分量に気を配った。食べたあとに、チーズの風味がフワッと口に広がる。そのバランスは絶妙だ。
「バター、リコッタ、パルミジャーノチーズの3つを合わせると重くなりがち。そこを、ホワイトアスパラのみずみずしさで重くなりすぎないようにする。それが、この料理のポイントです」
また、ホワイトアスパラとパスタの固さを同じくらいに揃えることも大切、と高師さん。
「ホワイトアスパラはよくゆでることでうま味が増します。くたっとするくらいゆでるのが、おいしくする秘訣です」
穏やかな光に包まれた春の山野を思わせる、ホワイトアスパラとトルテッリーニのひと皿。見た目通りのやさしい口当たり。今が旬のホワイトアスパラの風味が、口中に春を運んでくれた。
イタリアの家庭料理が、シェフの知識とテクニックでレストランの味になる。
ソラマメやグリーンピース、ニンジン、リコッタを詰めたトルテッリーニとホワイトアスパラ、ブーロエサルビア風ソースのバランスが抜群。さわやかな色合いの春らしいひと皿だ。
※ソースと付け合せは2人前、それ以外は仕込みの分量。
ソース
バター…大さじ2/セージ…4~5枚/水…大さじ2/パルミジャーノチーズ…大さじ1
ラヴィオリの生地
強力粉…200g/セモリナ粉…25g/全粒粉…25g/水…大さじ2/卵…120g/塩…3g
リコッタのクリーム
リコッタ…250g/ソラマメ…20粒/グリーンピース…20粒/ニンジン…ソラマメ、グリーンピースと同量/バルミジャーノチーズ…大さじ2/ナツメグ…少々/塩、コショウ…適量
付け合せ
ホワイトアスパラガス…2本/セージの葉のフリット…4~5枚
Hiroaki Takashi
1963年東京生まれ。六本木「キャンティ」などで経験を積んだのち、渡伊。ピエモンテ州「フリッポ」、トレンティーノ・アルト・アディジェ州 「シューネック」 などで修業し、97年帰国。日本橋 「アル・ポンテ」 を経て、2000年に 「リストランテ アルベラータ」 をオープン。
リストランテ アルベラータ
Ristorante Alberata
東京都新宿区神楽坂3-6 鶴田ビル1F
03-5225-3033
山内章子=取材、文 星野泰孝=撮影
本記事は雑誌料理王国2014年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2014年5月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。