プロ直伝!肉汁があふれ出す。牛肉の火入れ


肉汁があふれ出すプリミティブな味わい

「熟成肉の焼きの第一人者」と、「さの萬」の佐野さんが太鼓判を押すのが、「カルネヤ」のオーナーシェフ高山いさ己さんだ。生家は焼肉店。それと、肉の旨みを十二分に引き出そうとする「焼き」の技とは、無関係ではなさそうだ。成長するなかで無意識に刻まれてきた舌の記憶。2000年に渡伊した際、感銘を受けたのも郷土料理より肉だった。しかも熟成肉。イタリアでは、ごくふつうにエージングが行われていたのだ。

それから7年後に独立し、店につけた名前はイタリア語で「肉」を意味する「カルネヤ」。肉を存分に味わってほしいという思いを込めた。

だからこそ、熟成肉も噛んだ時にジュワっと肉汁が出るように焼く。焼きの名人とされる理由は、肉の好みが「サシの入っていない赤身で味の濃い肉」というようにはっきりしており、それをどう料理するか明確なイメージをもっているからだ。

おいしさを追究したら熟成肉に到達するのは当然と言うこの達人も、また熟成を熱く語るひとりである。

「火」を熟知した焼きの妙──肉を休ませずに一気に焼く

ジューシーさを出すために肉は厚めにカットする。
指3本分の厚さに。これが「片面の焼き」と「もう片面の休み」を可能にする。塩は軽めにふる。

炭火で焼き、脂部分は自然と加熱されるのに任せる。
熟成肉には炭火が合う。脂部分に切り込みを入れておくと、余分な脂が自然と落ちていく。

ある程度火が通ったら2度目の塩をふる。
一気に塩をふると外に水分が出てしまうので、塩は半分ずつ、2回に分けてふるのがポイント。

両面を2度ほど焼き一気に盛り付けへ。
焼き時間はトータルで7~8分。両面2回ずつ焼き、各2分が目安。最初は強火、次は中火で。

さの萬の熟成肉のビステッカ
付け合せのマッシュポテトには「インカの目覚め」を使用。牛筋、熟成肉の脂や野菜を煮込んだスーゴディカルネを添えて。

Cuisine Kingdom=取材、文

本記事は雑誌料理王国2012年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2012年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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