食材協会レポートVol.1-3【カリフォルニア産くるみ】

カリフォルニア産くるみ

団体や協会を設立して、普及を図る食材がある。手に入りやすい食材から、市場にはほとんど流通しない希少食材まで、その魅力を改めて深掘りするとともに、さまざまな取り組みや研究について紹介する

コロナ禍において需要が拡大!
2020年に過去最高輸入量を記録したトレンド食材

カリフォルニア産くるみは、世界流通量の約3分2のを担い、日本国内の流通量はほとんどがカリフォルニア産という圧倒的なシェア率を誇る。カリフォルニアでは、さまざまな品種のくるみが栽培されるが、主軸となるのはチャンドラー、ハワード、チュラーレ、ハートレーの4品種。アメリカでは濃厚でより自然なくるみの風味が楽しめるハワード種の人気が高く、一方日本では、渋みが少なくマイルドな味わいと柔らかな食感で食べやすいチャンドラー種が好まれている。

くるみは苗木を植えてから収穫できるまで6~8年かかるが、1本のくるみの木からは年間でなんと約1,500個以上の実が採れ、100年という長きにわたり実をつける。

カリフォルニア産くるみの健康的な栄養素

くるみは、オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸をナッツ類の中で最も豊富に含む。α-リノレン酸は、人の身体に不可欠な必須脂肪酸であり、体内で生成されないため、食品から摂取するしか方法がない成分だ。それを効率的に摂取できる数少ない食品であることや、またそれ以外にもポリフェノールや食物繊維、たんぱく質、ビタ ミンB1、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含むことから、くるみは近年〝スーパーフード〞として脚光を浴びている。

協会では25年以上に渡りくるみを科学的に研究。心臓病予防や認知機能改善、がん予防などさまざまな健康効果が報告されている。とくに健康維持への意識がかつてないほど高まったコロナ禍には需要が大幅に伸び、2020年のカリフォルニア産くるみの年間総輸入量は対前年比9.7%増と過去最高記録を打ち出した。

カリフォルニア産くるみの需要

アメリカでは、これまで主に家庭用の焼き菓子の材料として使われてきたが、昨今ではプラントフォワードの考え方に基づき、外食業界でも健康的で植物主体の食品へシフトが求められ、くるみを使ったヘルシーメニューがトレンドとなっている。東北を中心にくるみを使った郷土料理が根付く日本では、もともと料理食材としての認知度があるので、昨今の需要に伴い、外食や惣菜での普及拡大が見込まれる。

カリフォルニア
くるみ協会
https://www.californiakurumi.jp

約4800軒の生産者と約100社の加工販売業者からなる、カリフォルニア州食品農業局(CDFA)管轄の非営利団体。1987年設立。世界10カ国に代表事務所を置き、調査や研究のほか、企画実施を通して啓蒙活動などを行う。

text: Yuki Kimishima

本記事は雑誌料理王国319号(2021年12月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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